1991年にスティーヴ・リー(vo)とレオ・レオーニ(g)が中心となって結成されたゴットハード。アルバム『ゴットハード』(1992年)でデビューを果たしたバンドは、骨太のサウンド、AC/DCのようなビート、キャッチーなヴォーカル・メロディを武器に2ndアルバムの『ダイアル・ハード』(1994年)をスイスのナショナル・チャートNo.1に送り込むと、その後もアルバムを出せば、本国では当たり前のようにチャート1位を記録。スイスのみならずヨーロッパや日本でも人気バンドとなる。
すべてが順調かと思われたゴットハードだが、2010年10月5日、悲劇が待ち受けていた。オフの間、スティーヴが総勢21人の仲間とアメリカをバイクでツーリングしている際、道路脇で休憩をしていた所にスリップしたトレーラーが突っ込み、止めていたバイクがスティーヴを直撃。スティーヴはそのまま帰らぬ人となる。失意の中、バンドは活動を継続することを決め、オーディションの末にニック・メーダーを迎える。そうした中、バンドの中心人物であるレオ・レオーニ(ギター)がゴットハードのデビュー25周年を記念し、自らゴットハードのトリビュートをすべく立ち上げたこのコアレオーニであった。
レコーディングに参加しているのはレオに加え、ローズ・オブ・ブラックやリッチー・ブラックモアズ・レインボーで知られるロニー・ロメロ(vo)、現ゴットハードのヘナ・ハーベッガー(ds)、1993~1995年にゴットハードのツアー・メンバーとしてプレイし、U.D.O.やヨルンでも活動していたイゴール・ジアノラ(g)、スイスで、PLANET CRASHやCARANXといったバンドでプレイしていたミラ・マーカー(b)の4人。再録音された曲は基本的にはオリジナルに近い形でプレイされているが、現代的な厚みのあるサウンドと熟練した演奏により、楽曲はどれも新鮮な輝きを放っている。ロニーの声質がスティーヴと同タイプということもあって、ゴットハードの楽曲として違和感なく聴けるのもこの作品の大きな魅力で、新たな形でゴットハードの楽曲の素晴らしさを再確認することができる。