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スウェーデン・ストックホルムで1990年に結成、バンド結成者のデイヴィット・イスベルグに、ベーシストとして誘われたミカエル・オーカーフェルトが中心となり、95年にイギリスのCANDLELIGHT RECORDSからデビュー・アルバム『オーキッド』をリリースし、キャリアをスタートさせたオーペス。デスメタルの破壊衝動に陰影を作り上げるように多層化させていくプログレッシヴ・ロックのアプローチが好評を博し、96年にセカンド『モーニングライズ』、97年にはサード『マイ・アームズ、ユア・ハース』を立て続けに発表、レーベルをPEACEVILL RECORDSに移籍し、99年には4作目『スティル・ライフ』を発表し、作品ごとに独創性を高めていく。
より多くの人に知られることとなった出世作が、2001年リリースの5作目『ブラックウォーター・パーク』。のちにストーム・コロージョンでもタッグを組むことになる現代プログレ界のキーマン、ポーキュパイン・ツリーのスティーヴン・ウィルソンとともに作り上げたこの作品では、プログレ要素を強め、プログレ・メタルの可能性を拡張した作品として、ヨーロッパのみならず、アメリカでも注目を浴びるようになる。
02年に『デリヴァランス』、翌03年に『ダムネイション』を立て続けにリリースし、ヘヴィでありながらもメロディラインを強調、楽曲それぞれの魅力とアルバム総体での完成度を驚異的な密度で高めていく。その後バンドはROADRUNNER RECORDSとの契約を交わし、05年に『ゴースト・レヴァリーズ』を発表、06年には第1回目となる「LOUD PARK 06」で初来日公演を果たし、日本でもようやく認知されるようになる。08年には『ウォーターシェッド』、11年『ヘリテイジ』を発表し、アルバムを発表する度に来日公演を果たすバンドに成長。何より〝レコード・ジャンキー〟でもあるミカエルにとって、日本はすっかり贔屓の国の一つとなっている。
14年の『ペイル・コミュニオン』、16年『ソーサレス』を経て、2017年5月に、アメリカ・コロラド州デンバーにある「レッドロック野外劇場」で行ったライヴを収録した『ガーデン・オブ・ザ・タイタンズ~オーペス・ライヴ・アット・ レッド・ロックス・アンフィシアター』を18年11月にリリースした。
バンドの活動からしばらく離れていたミカエルだったが、ある朝、子供たちを学校に連れていく間に、バイリンガルのアルバムを作る、とのアイディアを思い立ち、母国語であるスウェーデン語と英語の双方でのレコーディングを経て、バンド結成から30周年を迎えようとする2019年9月、3年ぶりとなるアルバム『イン・カウダ・ヴェネノム』をリリースした。
自身の体内に流れるルーツを照射しつつ、無尽蔵に広がりゆく音世界を形にした、この深遠な調べを堪能せよ!