エクストリーム・メタルに極端に複雑なリズムを持ち込み、後のジェントの礎を築き上げたスウェーデンのメシュガー。その影響力は計り知れない。結成は87年。何本かのデモを発表した後、当時新進気鋭のレーベルであったニュークリア・ブラストと契約。91年のデビュー・アルバム『Contradictions Collapse』では、まだまだスラッシュ・メタルの範疇でくくれる音楽性を見せていた彼らだが、次の『Destroy, Erase, Improve』(95年)で一気に覚醒。アラン・ホールズワース等のジャズ系ギタリストからの影響を取り入れた本作こそ、メシュガーの真の出発点となった作品である。その後もアルバムを重ねるごとに、作風はますます複雑化。メシュガーは、エクストリーム・メタル界で最も先鋭的なバンドとなっていく。
2022年4月、名作の呼び声高い『The Violent Sleep of Reason』以来6年ぶり9枚目となるニュー・アルバム、『イミュータブル』をリリース。ジャズ/フュージョン的アプローチとエクストリーム・メタル的要素を完璧に止揚した『イミュータブル』は、積もりに積もったファンたちの期待を軽く凌駕する、現代のエクストリーム・メタルの最高峰に位置するアルバム。
2023年には、『ObZen』が15周年を節目に再発。複雑すぎるリズム、テクニカルの極地、ブラストビートの嵐、比類なきブルータリティ。知性と暴虐性の仕様。これをメシュガーの頂点とするものも少なくないのも納得の大名盤だ。
2024年1月には、サード・アルバム『Chaosphere』(98年)が発売25周年を記念し再発。極端に複雑なリズムワーク、そしてフレドリック・トーデンダルによる異次元のギター・ソロ。リマスターが施されたことで、Meshuggah初期の名盤と知られる本作の真髄が、よりクリアに楽しめるになったのは実に嬉しい。彼らのファンはもちろん、最近のメタルコアやジェントのファンも必聴のルーツ・アルバムだ。