ヘヴィメタル界最大のレコード・レーベルとして君臨するニュークリア・ブラストの創始者であるマルクス・シュタイガーが、古巣と訣別して立ち上げた新レーベル、アトミック・ファイアー。そんな彼らがドイツの伝説的ブラック・メタル・バンド、ミスティック・サークルと契約を交わした。
ジャーマン・ブラック・メタル・シーンの中では最古参の一つと言えるミスティック・サークル。その結成は1992年にまでさかのぼる。1年ほどデス・メタル・バンドとして活動し解散。94年にブラック・メタル・バンドとして復活を果たす。何本かのデモをリリースした後、96年に『Morgenröte - Der Schrei nach Finsternis』でアルバム・デビュー。クレイドル・オブ・フィルスを思わせる女性ヴォーカルやシンセサイザーをふんだんに取り入れたシンフォニック・ブラックを聴かせた。その後も『Drachenblut』(98年)、『Infernal Satanic Verses』(99年)、『The Great Beast』(01年)、『Damien』(02年)、『Open the Gates of Hell』(03年)、『The Bloody Path of God』(06年)と、非常に早いペースでアルバムをリリースしていったが、07年に解散。その存在は伝説となっていた。
2022年2月には16年ぶりのアルバム、『ミスティック・サークル』をリリース。
メンバー編成はバンドの顔、グラフ・フォン・ベルゼバブ(B,G,Vo,Key)、そして99年にバンドを去ったオリジナル・メンバー、A.ブラックウォーアーゴン(Vo,Dr,G,Key)。そういう意味では、本来99年の名作『Infernal Satanic Verses』の次にリリースされるべきだった作品と言えるものだ。
2023年3月に早くも復活第2弾となるニュー・アルバム『エルツデーモン』をリリース。「エルツデーモン」とは、ドイツ語で「大悪魔」のこと。『Morgenröte - Der Schrei nach Finsternis』、『Drachenblut』等、キャリア初期のアルバムがドイツ語のタイトルを持っていたことからもわかる通り、今回の作品では初心への回帰が一つのテーマとなっている。ホラー、悪魔、そして血の凍るような恐ろしい伝説。速い曲はより速く、ドゥーミーな曲はよりドゥーミーに。今回もミスティック・サークルらしいキーボードをふんだんに使った90年代スタイルのブラック・メタルを現代に甦らせる。