ヘヴィメタル界でいまだに日本の地を踏んでいない最後の大物と言えば誰だろう。答えは簡単。キング・ダイアモンドだ。(マーシフル・フェイトでも良い。)念のために説明しておくが、マーシフル・フェイトというバンドのヴォーカリストがキング・ダイアモンドで、85年にマーシフル・フェイトが一旦解散した後、そのキング・ダイアモンドが始めたバンドの名前もキング・ダイアモンドだ。マーシフル・フェイト/キング・ダイアモンドがヘヴィメタルの世界に与えた影響は凄まじい。メタリカやメガデスといったバンドの「インテレクチュアル」な部分、つまりテクニカルなリフワークや複雑な曲展開のルーツの1つが、マーシフル・フェイトであることは疑いようがない。メタリカがレコードでもステージでも、マーシフル・フェイトのカバーを披露していることは周知の事実だろう。現在では当たり前となっているブラック・メタル・バンドのコープスペイントの元祖も、やはりキング・ダイアモンドだ。「マーシフル・フェイトこそ真のブラック・メタル・バンドである」と主張するダイハードなブラック・メタル・ファンも少なくないのだ。つまり、その影響力はメタリカ、メガデスのような超スーパースターから、偏屈になりがちなアンダーグラウンドのメタル・マニアに至るまで、言い換えればヘヴィメタルという世界の隅々にまでくまなく及んでいるということ。そしてもちろん、キング・ダイアモンド自身の人気も絶大。現在も、ヨーロッパの巨大フェスティヴァルにはヘッドライナー級で出演を続けている。まさに、大物中の大物。これほどのバンドがいまだに来日していないとは、由々しき事態と言わざるを得ない。