ドイツのメロディック・パワー・メタル・バンド、シリアス・ブラック。彼らは2014年にヨーロッパのメタル・シーンで活躍する6人によって結成された。結成時のメンバーは、元ハロウィン、現マスタープランのローランド・グラポウ(g)、元ブラインド・ガーディアンのトーメン・スタッシュ(ds)、元タッド・モローズのアーバン・ブリード(vo)、エデンブリッジのドミニク・セバスチャン(g)、エマージェンシー・ゲイトのマリオ・ロハート(b)、元ドリームスケープのヤン・ヴァシック(key)の6人であった。
2014年11月にAFM Recordsより配信シングル「I Seek No Other Life」をリリース。「Sealing My Fate」、「High and Low」と配信シングルのリリースを重ねた後、満を持してアルバム『As Daylight Breaks』(2015年)を発表。充実した内容で大きな評判を呼んだ。カイ・ハンセンの後釜としてジャーマン・メタルの人気バンドであるハロウィンに加入し、2001年に脱退した後はマスタープランを結成したローランド、1988年のデビュー以来のメンバーで2005年にブラインド・ガーディアンを円満脱退したトーメン・スタッシュ、この二人の知名度は日本においても抜群であった。
ところが、セカンド・アルバム制作前に二人は脱退してしまう。ローランドは耳鳴り、トーメンは肩痛と、共に体調不良であったため脱退せざるをえなかった。バンドはギタリストをファイアーウィンドのキーボード・プレイヤーであるボブ・カティオニス、ドラマーを元ラプソディー・オブ・ファイアのアレックス・ホルツワースに交代。新体制で完成したセカンド・アルバム『MIRRORWORLD』(2016年)では、曲作りの中心がボブに移り、メロディック・メタル・スタイルへとシフトすると、同じメンバーでコンセト・アルバムとなった3rdアルバムの『Magic』(2017年)をリリース。前作以上にドラマティックで躍動感のある曲が目立ったこの作品を引っ提げて、2017年10月に実現させたものの、その直前にボブがファイアーウィンドの活動に専念するために脱退。ヤンも家庭の事情で不参加となったが、代役としてドイツ人テクニカル・ギタリストのクリスチャン・ミュンツナーを迎えて、その後のツアーも実施する。
2017年12月にボブが在籍時のメンバーで制作したアコースティック・アルバム『FIRST LIGHT』を発表したものの、ヤンは脱退。2018年にはアレックスもバンドを離れため、2015年にトーマスの助っ人としてツアーに参加していた元フリーダム・コールのラミー・アリ(ドラムス)が加入し、4人編成となったバンドが約3年ぶりに発表したのが『SUITE 226』(2020年)である。
サウンドの面ではパワー・メタル度が増した曲が目立つ一方で、サビの哀愁に溢れたメロディには優雅さが感じられ、激しさと美しさのコントラストが見事に映えた作品になったという印象を受ける。ヴァラエティに富んだ楽曲の中で、アーバンの表現力豊かな歌唱も楽曲に様々の表情を加えており、ヴォーカル 、ギターなど、全てにおいてメロディアスな要素が詰まったアルバムに仕上がっている。