1999年に突如現れたバックチェリーは、クラシックなロックサウンドを現代に蘇らせ大成功した。キース・ネルソン(G)をリーダとしたバックのミュージシャンの腕も確かなものであったが、とりわけジョシュ・トッド(Vo)の野性的な本能から吐き出される無尽蔵のエネルギーによってバンドは動いていた。
1995年、ロサンゼルスでジョシュとキースが、共通の刺青師であるケヴィンを通じて出会い、ロサンゼルスを中心にバンド活動を開始。デビュー前から、キッスの前座でツアーに同行するなど注目されていた彼らは、1999年にセルフタイトルのデビュー・アルバムをリリースすると、「Lit Up」が全米でヘヴィ・ローテーションとなり大きな話題となる。
ところが、2001年3月にセカンド・アルバム『タイム・ボム』発表後、相次ぐメンバーの脱退によりバンドは失速。残されたジョシュとキースはバンドをそのまま継続し、プロジェクトへの参加等を繰り返していたが、2002年7月にジョシュが脱退、結果としてバンドは解散となった。
その後、2003年にソロアルバム『ユー・メイド・ミー』を発表するなど活動していたが、2005年に突如バックチェリーをキースと共に再結成させる。2006年4月にサードアルバム『15』をリリース。地道にライブ活動を行う事でローカルな人気を獲得していくと、2006年にシングルカットされた「Sorry」がアメリカで大ヒット、同時にアルバムもロングセラーとなった。以後、着実に活動を重ねてきたバックチェリーは、現在までに8枚のアルバムを発表している。
そんなバックチェリーの中心人物のひとりである、ジョシュ・トッドのニュープロジェクトが始動した。その名も“ジョシュ・トッド&ザ・コンフリクト”である。
LA生まれオレンジカウンティ育ちのジョシュは、パンクの洗礼を浴びて育った人物だ。やがてキースと出会うことによって音楽の幅を広げていくわけだが、2017年リリースの『イヤー・オブ・ザ・タイガー』で展開されている楽曲は、そんな彼の雑食性がより大きく映し出されている。ロックンロールとは本来、すべてを飲み込み巨大化していくブラックホールのようなものだったことを思い出さずにはいられない。