1995年、アザルビョールン・トリッグヴァソン(ギター、ヴォーカル)を中心にブラック・メタル・バンドとして結成されたソルスターフィア。ビョークやシガー・ロスなど、数々の第一線級アーティストを育んできたアイスランドが輩出したメタル新世代の旗手だ。
翌96年に『Til Valhallar』EPでデビュー。02年には『Í Blóði og Anda』でアルバム・デビューを果たすと、その後は貪欲にプログレッシヴ・ロックやポストロックを取り入れた、実にアイスランドのバンドらしい自由なアプローチを見せ、その音楽性は作品ごとに進化していく。
それゆえに彼らは、同郷のシガー・ロスのメタル的進化形態と呼ばれている。また、彼らはブラック・メタルを出自としながら同様にポスト・ロック方的なアプローチを志向するウルヴァーやカタト二アとも比較されてきた。
しかし、自ら「ヘヴィメタル版ピンク・フロイド」と形容する独特のスタイルで、プログレッシヴ・ロック系フェスからエクストリーム・メタルの祭典『メリーランド・デスフェスト』までエクストリーム・メタル・ファンだけでない多彩な音楽性のリスナーから支持され、音楽シーンにおいて希有なポジションにあるといえる。
『Masterpiece of Bitterness』(05年)、『Köld』(09年)、『Svartir sandar』(11年)、『オウッタ』(14年)、『ベルドゥレーメン』(17年)と、リリースしたアルバムはいずれも傑作の誉れ高い。
2015年9月にはアナセマとの来日公演を行っている。ヴォーカリスト/ギタリストのアザルビョールン・トリッグヴァソンが「アイスランドの大自然から影響を受けた」と語るアトモスフェリック・サウンドとアイスランド語ヴォーカル、ブラック・メタルを出発点とするエクストリームなエッジが織り成す孤高の音楽性は鮮烈なインパクトを残し、次なる進化の姿に大きな期待を抱かせた。
2020年には、7作目となる『エンドレス・トワイライト・オブ・コディペンデント・ラヴ』をリリース。アイスランドのバンドにしか作り得ない、そしてソルスターフィアとしか形容しようのないあらゆる音楽を自由に取り入れた先鋭的なスタイルは彼らにしか作れないものだ。