一時は致命的な存続の危機に見舞われながらも見事にそれを乗り越え、20年を超える堂々たるキャリアを築き上げてきたポーランド出身のヴェテラン・エクストリーム・メタル・バンド、ディキャピテイテッド。
ウクライナやスロヴァキアと国境を接するポーランド南東部の街クロスノにて1996年に結成、平均年齢14歳という若さながら当時から並外れた演奏力を備えていたディキャピテイテッドは、いくつかのデモなどを制作した後、2000年に『ウィンズ・オブ・クリエイション』で本格的にデビュー。同郷の兄貴分というべきヴェイダーの司令塔ピーター[vo,g]によるプロデュース、イギリスの老舗『Earache』のサブレーベル『Wicked World』より発表されたこのアルバムでさっそく好評価を獲得した面々は、その後も『ニヒリティ』(2002年)や『ザ・ネゲイション』(2004年)といった高品質な作品をコンスタントに送り出し、エクストリーム・メタル・シーンで存在感を際立たせていく。
続く2006年発表の4thアルバム『オーガニック・ハルシノシス』では、それまでに確立していたテクニカルなデス・メタルの方法論を野心的に拡大させるなど意気揚がるバンドらしい新たな取り組みも見せていたが、そのツアー中、メンバーを乗せたバスが交通事故に巻き込まれてしまう。中心人物ヴァツワフ“ヴォッグ”キルティカ[g]>の実弟ヴィトルド“ヴィテク”キルティカ[ds]が他界、エイドリアン“コヴァン”コヴァネク[vo]が昏睡状態に陥る大惨事となったこの事故により、バンドは敢えなく活動を休止させる。
しかし、ディキャピテイテッドは再び立ち上がった。ヴォッグ以下、新たなラインナップで不屈の再起を果たしたバンドは、ヴィテクが生前に書き残していたリフを用いた楽曲も収める復活作『カーニヴァル・イズ・フォーエヴァー』をもって2011年に活動を再開、2014年には持ち前の音楽的領域をさらに押し広げた6thアルバム『ブラッド・マントラ』をリリースし、一座の健在ぶりと変わらぬ前進意識を力強くアピールしている。
そして2017年、彼らのおよそ3年ぶり、通算7枚目のフルレンスとなるニュー・アルバム『アンチカルト』がリリースされた。