1985年にドイツのインディ・レーベルであるノイズ・レコードより、ハロウィンの1stミニ・アルバム『ハロウィン』が発表された。以来、30年以上の長きにわたり、彼は独自のヘヴィ・メタルを創り発表し続け、ジャーマン・メタル・シーンを牽引してきた。
ハロウィンではギターとヴォーカルを兼任していたカイの負担を軽減すべく、ハイトーンにしてパワフルかつエモーショナルな表現力を誇る驚異のヴォーカリスト、マイケル・キスクを迎え入れる。すると、バンドの人気は一気に拡大。2ndアルバム『守護神伝 - 第一章 -』(1987年)、3rdアルバム『守護神伝 - 第二章 -』(1988年)と、立て続けに傑作を発表して世界中でメタルヘッズの支持を獲得。ハロウィンがメロディックなスピード・メタルのオリジネイターであることは疑う余地もないだろう。強烈な疾走感と美旋律の融合は今なお名作として語り継がれている。
「アイム・アライヴ」、「アイ・ウォント・アウト」、「フューチャー・ワールド」など、初期の名曲を生み出したカイ・ハンセンの評価は高かったのだが、様々な問題によりハロウィンを脱退する。新たにバンドを結成し、ガンマ・レイのデビュー作『ヘディング・フォー・トゥモロウ』を1990年に発表。ここで彼はハロウィンでみせたドラマティックなメタルをさらに進化させ、再び多くのリスナーを驚かせたのだった。以来、ガンマ・レイはコンスタントに作品をリリース、カイの驚異的な創造力よって現在に至るまで続いている。さらに彼は1997年、ハロウィンの前身バンドにも在籍していたピート・シールク率いるアイアン・セイヴィアーに参加(2001年に脱退)。2011年にはマイケル・キスクが結成したバンド、ユニソニックへ加入するなど精力的に活動し続けている。
そんなジャーマン・メタル界の重鎮とも言える彼のデビュー30周年アニヴァーサリー企画として、2016年9月には初のソロ・アルバム『XXX〜スリー・ディケイズ・イン・メタル』が発表された。若いミュージシャンと多彩なゲストによる充実作で、続けて世界最大級のメタル・フェス「ヴァッケン・オープン・エア」にバンドを率いて出演。その熱狂の現場、奇跡のステージを収録した作品『サンキュー・ヴァッケン〜ライヴ・アット・ヴァッケン・オープン・エア 2016』を2017年6月に発表している。