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2003年にドイツにて、マシュー・グレイウルフ(ギター)とチャールズ・グレイウルフ(ベース)が中心となって結成され、ルーマニアのブカレスト国立音楽大学でオペラを学んでいたアッティラ・ドーン(ヴォーカル)を迎えたメンバーで、2005年にアルバム「RETURN TO BLOODRED」(2005年)でデビューを果たしたパワーウルフ。2ndアルバム『LUPUS DEI』(2007年)、3rdアルバム『BIBLE OF THE BEAST』(2009年)をリリースしつつ、地道にライヴ活動を続けた彼らは、白塗りメイクを施した神秘的なヴィジュアルとエキサイティングなライヴ・パフォーマンスが注目を集め、ヨーロッパでじわじわと人気を拡大していくことになる。
その後、バンドの代表曲を数多く収録した4thアルバムの『BLOOD OF THE SAINTS』(2011年)でブレイクしたバンドは、日本でのデビュー作となった5thアルバム『陰翳礼讃/プリーチャーズ・オブ・ザ・ナイト』(2013年:ドイツ・チャートNo.1)と6thアルバム『狂気崇拝/ブレスト・アンド・ポゼスト』(2015年:ドイツ・チャート最高3位)を本国で大ヒットさせると、2015年のヨーロッパでのライヴを収めたDVD+CD『ザ・メタル・マス・ライヴ』(2016年)を挟んでリリースした、7thアルバム『ザ・サクラメント・オブ・シン』(2018年)もドイツ・チャートNo.1を記録。名実共にドイツのメタル・シーンを代表するバンドとなった。
2020年には、自身初となるベスト・アルバム『ベスト・オブ・ザ・ブレスト』をリリース。2021年には、重厚なオーケストラやクワイヤをフィーチャーした最新スタジオ・アルバム『コール・オブ・ザ・ワイルド』をリリース。またまたパワー・メタル・ファンから絶大なる支持を得たことも記憶に新しい。
2022年には、『ザ・モニュメンタル・マス:ア・シネマティック・メタル・イヴェント』と題されたライヴ作品をリリース。21年12月17日に行われた彼らのライヴ・ストリーミングを収録したもの。ステージセットの豪華さも並のものではないが、その中身もとことん充実したもの。何ヶ月もかけて入念に準備をしたというこの日のステージは、多数のアクターやダンサーが登場する演劇仕立て。彼らのオカルティックな世界観にぴたりとマッチしたスクリプトは圧巻の一言だ。
2023年4月、新曲6曲を含むコンピレーション盤『インタールディウム』をリリース。新曲以外も、シングルだけでリリースされたものや、ツアー用EPのみに収録されていたものなど、レア・ナンバーばかり。そのいずれも、オリジナル・アルバムに収録されていても何ら不思議のない、いつものパワーウルフらしい楽曲ばかり。ヘヴィで明確なリフ、大合唱必至のサビ、シンフォニックなアレンジメント、そして雄々しいコーラス。これを聴いて血の高ぶりを抑えられるメタル・ファンなどいるはずもない。サバトン、マノウォーあたりの勇壮なヘヴィメタルのファンにはドストライクの内容だ。パワーウルフ・ファンはもちろん、初めて彼らの作品に触れてみようと言う人にとっても最適な作品だ。