ファルージャは2007年、サンフランシスコにて結成。高校の仲間同士だったスリマン・アルグハンディヴァル(ヴォーカル)、アレックス・ホフマン(当時ギター)、スコット・カーステアーズ(ギター)らが中心となっての活動開始だった。バンド結成間もない頃から積極的にライヴを行なっており、当初はサンフランシスコのハードコア・シーンを主戦場として活動、LIONHEARTやHOODS、SUFFOKATE、LOSE NONEといったバンド達と共演していた。なお、2007年中にオリジナル・ドラマーのトミー・ローガンが脱退しており、後任として現在のドラマーであるアンドリュー・ベアードが加わっている。
2009年、彼らは最初のEP『LEPER COLONY』の制作準備に入るが、オリジナル・シンガーのスリマンが脱退したため、ギタリストのアレックスがヴォーカルにスウィッチ、セカンド・ギタリストとして新たにロブ・マラモンテが加わった。『LEPER COLONY』は2009年1月にリリースされたが、テクニカル・デス・メタルの無慈悲なサウンドにブラック・メタルの邪悪なタッチを導入、更にはアレックス自身のプログラミングによるシンセサイザーを駆使した重厚壮大なアレンジを加えた音楽はアンダーグラウンド・メタル・シーンですぐさま評判となった。この時、彼らはまだ高校生だったが、その卓越した演奏力と独創的な作曲術も高く評価された。高校を卒業すると同時に彼らはライヴ活動に更に打ち込むようになり、バンドにとって最初のツアーもようやく実現したのだった。2009年から2011年にかけてアメリカ国内を廻る長期ツアーも経験、CONDEMNEDやCATALEPSY、FALLEN FIGURE、PICTURE IT IN RUINSといったデス・メタル/デスコア・バンド達と共演している。
2011年、ファルージャとしてのファースト・フル・アルバムの制作に着手する。この時点でベーシストがブランドン“ブランドー”ホベルグからロブ・モーレーに交代していた。当時ALL SHALL PERISHの凄腕ギタリスト、フランチェスコ・アートゥザートが“Become One”にギター・ソロでゲスト参加、アレックス・ホフマン自らがアートワークを手掛けたデビュー・アルバム『THE HARVEST WOMBS』はデス・メタル系レーベル「Unique Leader Records」より2011年11月にリリースされた。ここでは彼らのオリジナリティ豊かな音楽スタイルは更なる発展を遂げ、攻撃性や技巧性のみならずメロディやアトモスフェリックなサウンドスケープもよりいっそうの拡張を印象づけた。「THE HARVEST WOMBS」発表後、アメリカ国内外にて精力的にツアー活動を実施、SUFFOCATION、HATE ETERNAL、GOATWHORE、THE BLACK DAHLIA MURDER、CEPHALIC CARNAGE、SKELETONWITCH、PATHOLOGY、HAVOKといった名だたる強豪達と共演する機会にも恵まれた。
2013年4月にはEP『NOMADIC』を発表、ここでは空間に配慮したサウンドスケープ、クリーンなトーンによるギター・サウンド・レイヤーの面で更に確信的なアプローチを実践、彼らの特徴的な音楽スタイルはここで“アトモスフェリック・デス・メタル”と形容されるようになった。このアルバムにはWHIRRの女性シンガーであるビヤンカ・ミュノズがゲスト参加、サウンドの神秘性や深遠さが更に増幅される結果となった。なお、この作品をもってロブ・マラモンテがバンドを脱退、ツアーではブライアン・ジェームスがサポートを務めていたが、ブライアンはやがて正式メンバーとして迎え入れられた。
2014年7月、ブライアンを擁する編成での1作目であり、通算では2枚目のフル・アルバム『THE FLESH PREVAILS』を発表。『THE FLESH PREVAILS』リリースに伴い、彼らは「SUMMER SLAUGHTER TOUR 2014」に参加、MORBID ANGEL、THE FACELESS、DYING FETUS、THY ART IS MURDERと共演した。なお、『THE FLESH PREVAILS』収録の“Allure”にはOBSCURAやSPAWN OF POSSEION等で辣腕をふるってきたドイツ人、クリスチャン・ミュンズナーがギター・ソロでゲスト参加、女性シンガーのロニート・アルヤカムが“The Flesh Prevails”“Levitation”“Alone With You”で歌っている。
2015年1月、既に「Unique Leaders」を離れていた彼らは、新たにドイツのメタル・レーベル「Nuclear Blast」と契約したことを公表。その移籍第1弾・通算3枚目のアルバムであり、日本でのデビュー作となる『DREAMLESS』を2016年に発表し日本でも大きな話題となった。しかし、2007年から活動を共にしてきたヴォーカリストのアレックス・ホフマンが2017年に脱退、ギタリストのブライアン・ジェームスも2018年に脱退している。
2019年には、新たにヴォーカリストのアントニオ・パレルモを迎えて制作された4枚目のアルバム『UNDYING LIGHT』をリリース。「『UNDYING LIGHT』はまったくの別物であり、このアルバムはファルージャというバンド、そしてその将来の姿のステートメントさ。この作品こそが、俺たちが磨きあげた本当のサウンドなんだ」というスコットの堂々とした宣言のとおり、確かに前作に比べれば、ストレートな作風へと接近しているのが感じ取れる。もちろん、そこはあくまでファルージャ基準。彼らの音楽が、テクニカル、プログレッシヴであることに変わりはない。