ガンズ・アンド・ローゼズのギタリストとしてデビューを果たしたスラッシュが、スラッシュズ・スネイクピット、ヴェルヴェット・リヴォルヴァーでの活動を経て、多彩なゲストを迎えて制作したソロ名義のアルバム『スラッシュ』をリリースしたのは2010年のことだった。その後、この作品に参加していたアルター・ブリッジのマイルス・ケネディを専任ヴォーカルに迎えてツアーを実施。彼のヴォーカルも、スラッシュの信頼するパートナーに相応しい熱唱だ。アルター・ブリッジのアルバム『フォートレス』(2013)が全米チャート12位、全英チャート1位をはじめとして世界を獲った実力派だが、今やスラッシュのキャリアにおいて欠くことの出来ないシンガーだ。
ツアーを大成功に終わらせると、次作のレコーディングでは、マイルスとツアー・メンバーだったトッド・カーンズ(ベース)とブレント・フィッツ(ドラム)をマイルス・ケネディ&ザ・コンスピレイターズとして起用し、バンド・スタイルで制作したアルバム『アポカリプティック・ラヴ』は2012年にリリースされている。
さらに同じメンバーで『ワールド・オン・ファイアー』(2014年)をリリースし、ツアーを行なったスラッシュは、2016年にガンズ・アンド・ローゼズに電撃復帰し、ワールド・ツアーも実現。その後、ガンズ・アンド・ローゼズでの活動が一段落すると、スラッシュのツアーのサポート・ギタリストとして参加していたフランク・シドリスがザ・コンスピレイターズの正式メンバーとなって、約4年ぶりとなるアルバム『リヴィング・ザ・ドリーム』(2018年)をリリースする。
2018年9月から10月までアメリカとカナダでツアーを行なった彼らは、2019年1月からシンガポールを皮切りに再びツアーをスタート。タイ、韓国を廻った後、大阪と東京でライヴを行なった。その後、中国、ニュージーランド、オーストラリアと廻わり、ドイツ、チェコ、オーストリア、ポーランドを経て、2月19日と20日にイングランド公演を実現。
現代ハード・ロック界屈指のギブソン・レスポールの弾き手であるスラッシュのギター・プレイは、キャリアを経るごとに冴えを増す。“スラッシュ=切りつける”の異名をとった鋭角的なリフ・ワークから艶気あふれるリード・プレイまで、彼のギターは未だかつてなく雄弁なものへと進化している。