THEOCRACYはアメリカのプログレッシヴ・パワー・メタル・バンド。もともとはマルチ・プレイヤーのマット・スミスによるソロ・プロジェクトで、03年のデビュー・アルバム『Theocracy』は、彼が1人でギター、ベース、ヴォーカルからキーボード、ドラムまですべてを手がけたという脅威の作品。その後バンド形態となったTheocracyは、『Mirror of Souls』(08年)、『As the World Bleeds』(11年)、『Ghost Ship』(16年)と3枚のアルバムをリリース。ヨーロッパでの活動を経て注目を集め、バンドして大きく進化した。
その後、アトミック・ファイアー・レコードと契約を果たし、23年10月にはアルバム『Mosaic』をリリース。パワー・メタル・ファンから高評価を得た前作から7年振りとなる本作も、プログレッシヴではありながら、実にわかりやすい彼らお得意のメロディックなパワー・メタルを炸裂させている。アメリカのバンドでありながら、そのサウンドの要はSTRATOVARIUSやSONATA ARCTICAといった、ヨーロッパのバンドをも彷彿とさせるもの。そこにSYMPHONY Xあたりのプログレッシヴさを掛け合わせると出来上がるのが、THEOCRACYワールドである。インテリジェントでありながらキャッチーな楽曲、そして高い演奏力にハイエンドなプロダクション。才人マット・スミスのシンガーとしてより磨きの掛かった歌唱と、卓越したアレンジとメロディセンスで前作を凌駕する仕上がりだ。