ポルトガルから登場した新たなるメタル・バンド、セヴンス・ストーム。多少なりともメタルに詳しい人であれば、ポルトガルのメタルと聴けば、まずムーンスペルを思い出すだろう。実はこのセヴンス・ストームも、20年にムーンスペルを脱退したドラマー、マイク・ガスパーが新たに始めたバンドなのである。
22年8月、デビュー・アルバム『マレディクタス』をリリース。本作を一言で形容するとしたら、「メランコリック」という言葉が最適だ。なかなか「ポルトガル」と「メランコリー」というイメージは結び付きづらいかもしれないが、マイクの見解は違う。「ポルトガル人は世界を発見したことで知られている。我が家から離れて長い航海をして。メランコリーはポルトガル人の歴史的過去から生まれているんだ」と彼は語っている。
ヴァイキング期のBathory、Tiamat、Samael、Paradise Lost、さらにはFields of the Nephilim やDead Can Danceからも大きなインスピレーションを受けているというセヴンス・ストームの音楽。『マレディクタス』は、「ヘヴィでメタル。メロディックで剥き出しの感情に溢れている作品」というマイクの言葉通りのアルバムだ。ヨーロッパらしい物悲しさと美しさでいっぱいの本作は、日本人の心にも深く訴えかけてくる。ちょっとしたエスニックなタッチも、見事なスパイス。