ノルウェーのロックンロール・バンド、クヴァラータク。コンヴァージのカート・バロウがプロデュースした10年のデビュー・アルバムは、ノルウェーのグラミーであるSpellemannprisen賞の、ベスト・ニュー・アーティスト賞とベスト・ロック・アルバム賞を獲得しただけでなく、世界中のメタル・メディアから絶賛の嵐となった。勢いに乗ったバンドは、大手のロードランナー・レコーズと契約。13年にはセカンド・アルバム、『Meir』、16年にはサード・アルバム、『Nattesferd』をリリース。その勢いは止まるところを知らなかった。だが18年、バンドの顔にしてオリジナル・メンバーのヴォーカリストのアーランド・イェルヴィックが脱退をする。
そのアーランドが新たに結成したバンドが、自身の名を冠したこのイェルヴィックである。「いつかは自分のやりたいことをやろうと、ずっと頭の片隅で考えていた」というアーランドは、新バンドのスタイルを「ブラッケンド・ヴァイキング・ヘヴィ・メタル」と描写している。クヴァラータク時代は多少疎遠になっていたヘヴィメタルを、最近また聴きまくっているというアーランドは、ファースト・ウェイヴ、セカンド・ウェイヴのブラック・メタル、クラシックなスラッシュ・メタルから大きなインスピレーションを受けたとのこと。このことからもわかる通り、イェルヴィックの音楽性は、クヴァラータクとは一線を画している。北欧のヘヴィメタルらしい哀愁、ブラック・メタルの邪悪さ、ヴァイキング・メタルの勇壮さをすべて兼ね備えたそのスタイルは、有りそうで無かったもの。まさに温故知新である。
ブラック・メタルの味付けもありながら、キャッチーさを失わないイェルヴィックのスタイルは、ブラック・メタル、メロディック・デス・メタル、北欧メタルなど、幅広いファンにアピールすること間違い無し。