ウクライナのメタル・バンド、ジンジャー。バンド自体の結成は2009年であるが、女性ヴォーカリスト、タチアナ・シュメイリューク、そしてギタリスト、ロマン・イブランカリロフが加入した10年こそが、ジンジャー本格始動の年と言える。12年にリリースしたEP、『Inhale, Do Not Breathe』は、プログレッシヴ・メタルコアとでも言うべきテクニカルかつパワフルな内容。本作は13年に、ライヴ・トラックを足した実質上のデビュー・アルバムとして、ギリシャのリーダーズ・レコードから再発された。続く14年にはセカンド・アルバム『Cloud Factory』を自分たちのレーベルから発表。これがオーストリアの大手、ナパーム・レコードの耳に留まることになる。そのナパームからリリースされたサード・アルバム『King of Everything』は、ジンジャーの人気を一気に世界的なものとした。クリーンとグロウルを見事に使い分けるタチアナのヴォーカル・ワークは強烈そのもので、同じく女性ヴォーカルをフィーチャしたアーチエネミーとのツアーも功を奏し、その人気、評判はうなぎ登りとなった。19年4月には、オブスキュラとともに来日。凄まじいステージングでオーディエンスを圧倒したことも記憶に新しい。さらに10月にはサード・アルバム、『Macro』をリリースし、こちらも大きな話題となった。
その『Macro』に伴うツアーのうち、2020年3月5日にオーストラリアのメルボルンで行われたショウをフル収録したライヴ・アルバム、『アライヴ・イン・メルボルン』が、同年11月にリリース。パワフル、タイト、テクニカル、そしてプログレッシヴなパフォーマンスは圧巻だ。