カナダのアンリーシュ・ジ・アーチャーズ、ソルト・レイク・シティのヴィシゴスなどの台頭により、近年盛り上がりを見せる北米パワー・メタル・シーン。カリフォルニアのヘリオン・プライムも、シーンの一角を支えるバンドである。結成は14年。15年にBandCamp上で2曲入りEPを発表。さらに翌16年には、バンド名を冠したデビュー・アルバムを自らのレーベルを通じてリリース。映画『リディック』に登場する惑星の名からとったバンド名、歌詞、アートワークに至るまで、レトロ感あふれるSF的イメージに満載のパワー・メタルは、多くのメタル・ファンの心を鷲掴みに。続くセカンド・アルバム、『Terror of the Cybernetic Space Monster』(18年)は、ドイツのAFMレコードからのリリースとなった。
翌19年、バンドの顔であるヴォーカリストのソゾス・マイケルが脱退。彼の後任として加入したのがメアリー・ズィマーである。その名に聞き覚えのあるメタル・ファンもいるはずだ。彼女は元クレイドル・オブ・フィルスのポール・アレンダーと共に、ホワイト・エンプレスをやっていたヴォーカリスト。15年には来日も果たしている。16年にホワイト・エンプレスを脱退したメアリーは、サンタ・マルタという新バンドをやっていたが、19年にこのヘリオン・プライムに加入を果たした。
2020年には、メアリーを迎えて制作されたサード・アルバム、『クエスチョン・エヴリシング』をリリース。ツイン・ギターによるメロディックなリフが冴え渡り、キーボードがドラマチックに楽曲を盛り上げと、まさにパワー・メタルのフルコース。ヴォーカル・コーチとしても活躍するメアリーの歌唱力はさすがだ。