ニューヨーク出身のブルー・オイスター・カルトは72年、バンド名を冠したアルバムでデビュー。70年代を通じ、『Secret Treaties』(74年)、『On your feet or on your knees』(ライヴ盤、75年)などの名盤を続々とリリース。希代の名曲「(Don't Fear) The Reaper」を収録した76年の4thアルバム『Agents of Fortune』は、ゴールド・ディスクを獲得するなど大きな人気を博した。
詩人でもあったプロデューサー、サンディ・パールマンがブレインであった70年代のブルー・オイスター・カルトは、強烈にオカルティックな雰囲気を漂わせていた。アメリカ版ブラック・サバスというイメージ戦略もとられていたが、ブルー・オイスター・カルトのサウンドは、サバスのようなヘヴィさを強調したものではなく、湿ったハードロックであったり、冷たい狂気をはらんだものであった。「(Don't Fear) The Reaper」に代表されるような覚めた恐怖感は、現在ゴーストが受け継いでいると言えるだろう。
01年の『Curse Of The Hidden Mirror』以来19年ぶりとなるアルバムのタイトルは、『ザ・シンボル・リメインズ』、すなわち「そのシンボルは今も残っている」という意味。ブルー・オイスター・カルトのファンならば、シンボルの意味するところはすぐにわかるだろう。初期2枚のアルバム・ジャケットを手がけたビル・ゴーリックがデザインした変形十字は、ファースト・アルバム以来のブルー・オイスター・カルトのシンボルだ。デビューからまもなく50年を迎えようというバンドの健在ぶりをアピールするタイトルにふさわしく、19年のブランクを感じさせる要素はない。ノリノリのハードロックからお得意の哀愁バラード、元祖ヘヴィメタル・バンドの面目躍如たる重量級ナンバーまで、実にブルー・オイスター・カルトらしいバラエティに富んだ作品に仕上がっている。もちろん不気味な雰囲気も健在だ。
2023年12月には、デビュー50周年を記念したライヴの模様を収録した作品をリリース。22年9月21日から23日まで、ニューヨークのソニー・ホールにて3晩連続で行われたショウは、いずれもソールドアウト。それぞれ『Blue Öyster Cult』、『Tyranny and Mutation』(73年)、『Secret Treaties』という初期の傑作の完全再現というスペシャルすぎるステージであったのだから、それもまた当然であろう。この度リリースとなるのが、初日の模様。デビュー・アルバム完全再現に加え、第2部はその他のヒット曲+ディープ・カッツと盛りだくさん。さらにはオリジナル・メンバーのアルバート・ブーチャードもゲスト参加。