アメリカのドゥーム・メタル・バンド、ポールベアラーは、08年にブレット・キャンベル、ジョセフ・D・ロウランドらによって結成された。10年に発表したデモがきっかけとなり、先鋭的なバンドを多く輩出しているカナダのプロファウンド・ロア・レコーズと契約。12年にリリースしたデビュー・アルバム『Sorrow and Extinction』は、ピッチフォークを始めとした音楽サイトで絶賛され、ポールベアラーの名は一気に世界中の音楽ファンに広まった。ビリー・アンダーソンをプロデューサーに迎えた14年のセカンド・アルバム『Foundations of Burden』も、ピッチフォークでベスト・ニュー・ミュージックに、デシベル・マガジンで年間ベスト・アルバムに選ばれるなど、各方面で非常に高い評価を得た。その後、ヨーロッパ最大手レーベルであるニュークリア・ブラストに移籍。17年にリリースされたサード・アルバム『Heartless』では、グランジからプログレまでをも飲み込んだサウンドを披露。新たなファン層へも大きくアピールしたこの作品は、ビルボード・チャートへのランクインも果たした。
2020年には、4枚目のアルバム『フォーガットン・デイズ』をリリース。SUNN O)))やアースとの仕事で知られるランドール・ダンがプロデューサーを務めている。激重グルーヴ、そして感情むき出しのフック。10年に渡る活動で得たものが凝縮されている。
2024年5月には、5枚目のアルバム『Mind Burns Alive』をリリース。難産の末に生まれたこのアルバムは、Pallbearerらしい陰鬱さにまみれた傑作だ。パンデミックに戦争。世界中の人々に苦痛をもたらしている現代社会を反映したかのようなサウンドは、暗くもあり、そしてまた同時に美しくもある。これぞドゥーム・メタル。これぞ希望なき世界のサウンドトラックだ。