1958年イギリス出身のポール・ディアノ。1978〜81年まで、アイアン・メイデンのヴォーカルを務める。『Iron Maiden』、『Killers』というヘヴィメタル、いやロックの歴史に残る名盤2枚のヴォーカルを務めるという栄光に浴したものの、その生き様はまさにロッカーのそれ。ブルース・ディッキンソンとは対照的なパンキッシュで荒々しい歌いっぷりは、ドラッグと暴力に彩られた彼の人生そのものであるとも言える。
だが、アイアン・メイデンはもちろん、ディアノ、バトルゾーン、キラーズなど、彼のかかわった様々なバンド、プロジェクトの功績は、決して軽んじられるべきではない。パンクとヘヴィメタルの融合とでも言うべきアイアン・メイデンの最初の2枚のアルバムがなければ、その後のエクストリーム・メタルの流れが違ったものになったであろうことは、想像に難くない。ポール・ディアノ期のメイデンこそ至高とするミュージシャン、ファンも少なくない。
2020年5月には、2006年8月27日にドイツのヴァルトロップにて行われたフェスティヴァルの模様を収録したライヴ・アルバム『ヘル・オーヴァー・ヴァルトロップ - ライヴ・イン・ジャーマニー』をリリース。録音はしたもののさまざまなテクニカル・トラブルにより、お蔵入りになっていたが、現代のディジタル・テクノロジーの力によって、14年ぶりに日の目を見ることになった。
ポール・ディアノは13年には膝の怪我を理由に引退を発表したが、翌年に撤回。だが再び引退を発表、今後その雄姿を日本では見られる可能性は低そうだ。