1982年にデビュー、ハード・ロック/ヘヴィ・メタル不毛の地だったオランダから世界に打って出たヴァンデンバーグ。エイドリアン・ヴァンデンバーグは一躍ギター・ヒーローとなり、『ネザーランドの神話 Vandenberg』(1982)、『誘惑の炎 Heading For A Storm』(1983)、『アリバイ Alibi』(1985)という3枚のアルバムは時代を超えて聴き継がれるクラシックスとなった。
エイドリアンはホワイトスネイクに加入、『白蛇の紋章』(1987)に伴うワールド・ツアーで大ブレイクを果たす。その後マニック・エデンを経て、一時は音楽シーンを去ったものの、2014年にはヴァンデンバーグズ・ムーンキングス名義で復活。そして2020年、ロニー・ロメロをシンガーに、そしてルディ・サーゾ(ベース)、ブライアン・ティッシー(ドラムス)をゲストに迎え、伝説のヴァンデンバーグ名義でのアルバム『2020』を発表した。
2023年8月、3年ぶりのニュー・アルバム『Sin』をリリース。「音楽は絵画のようなもの。光があって影がある。机に飛び乗って大騒ぎしたくなる曲もあれば、じっくりと考えさせるものもある」というエイドリアンの言葉通り、実にバラエティに富んだハードロックが展開されている。ヴォーカルは前作のロニー・ロメロ(レインボー、マイケル・シェンカー・グループ、ディスティニア等)から、マッツ・レヴィン(イングヴェイ・マルムスティーン、トランス・シベリアン・オーケストラ等)に交代。エイドリアンは本作について、「『2020』よりも一段階ヘヴィな仕上がり」とコメントしているが、これにはマッツの翳りを帯びた声質も関係しているだろう。プロデューサーを担当したのは、前作同様巨匠ボブ・マーレット(ブラック・サバス、アリス・クーパー、ロブ・ゾンビ)。