1990年に結成、パラダイス・ロスト、アナセマと共に英国デス/ドゥーム・メタルの黄金三角形を成してきたのがマイ・ダイイング・ブライドだ。
アンドリュー・クレイハン(ギター)とアーロン・ステインソープ(ヴォーカル)をバンドの軸として活動してきた彼らは深く沈み込むヘヴィネスで世界のファンの信頼を勝ち得てきた。他2バンドが初期のデス/ドゥーム・サウンドから逸脱していく一方で、彼らは漆黒の世界観を頑ななまでに貫いている。
13作目のアルバム『ザ・ゴースト・オブ・オライオン』(2020年)は、苦悩の中で作られた作品だ。前作『フィール・ザ・ミゼリー』(2015)発表後、アーロンの5歳になる愛嬢の癌が発覚。彼が“神の苦く愛なき、最も残虐な創造物”と表現する病魔との戦いを強いられることになった(幸い、快調に向かっている)。さらにメンバー2人が突如脱退するという事件にも見舞われている。だがバンドは長く暗いトンネルを経て、新メンバーを迎えながら13枚目のアルバム『ザ・ゴースト・オブ・オライオン』を完成。長年の古巣だった“ピースヴィル・レコーズ”を離れ、世界最大のメタル・レーベルのひとつ“ニュークリア・ブラスト”から発表することになった。
2024年4月には4年ぶりのニュー・アルバム『A Mortal Binding』をリリース。ヘヴィでドゥーミー、メランコリック。すべて6分超の長尺曲がずらりと並ぶ。効果的に使われるヴァイオリンやシンセサイザーも、ひたすら陰鬱さを助長する。これぞイギリスのダークサイドの極地といった作品。