フィリップ・H・アンセルモ。ヘヴィメタル・ファンで、その名を知らぬものはいないであろう。90年代、一世を風靡したスーパースターであると同時に、当時グランジの台頭により瀕死状態にあったヘヴィメタルの救世主でもあったパンテラのフロントマンだ。ダウン、スーパージョイント・リチュアル、ネクロフェイジア。メタル、パンク問わずアンダーグラウンドな音楽にも非常に造詣が深い彼は、パンテラ在籍時から多くのプロジェクトに携わってきた。そんな中、現在大きな注目を集めているのがフィリップ・H・アンセルモ&ジ・イリーガルズだ。自身の名を冠していることからもわかる通り、基本的にはフィル+バックバンドというソロ的位置づけのもの。もともと様々なカバー曲をセットに組み込んでいた彼らだが、18年の後半あたりから半分、ときには全部がパンテラというセットを披露し始めた。これが話題にならぬはずがない。19年に入ってからは、「フィリップ・H・アンセルモ&ジ・イリーガルズが『A Vulgar Display of PANTERA』をプレイ」というサブタイトルがついたツアーを行っている。
2020年1月24日彼らのオリジナル・アルバム、『ウォーク・スルー・エグジッツ・オンリー』、『チュージング・メンタル・イルネス・アズ・ア・ヴァーチュー』の2枚が日本初お目見えとなった。
デス・メタル、ブラック、メタル、スラッジ。フィルのエクストリーム・メタル愛が凝縮されたこれらのアルバムは、パンテラ・ファンも必聴。パンテラの革新的なスタイルは、フィルのエクストリーム・メタル愛と他のメンバーのメジャー指向性が化学反応による産物なのである。
また、アルバムリリース4日後の1月28日には、東京・恵比寿にあるLIQUIDROOMにて来日公演も開催された。