スウェーデンで結成されたヘヴィ・メタル・バンド、シルヴァー・マウンテンのメンバーとして1984年にデビューを果たしたアンダース・ヨハンソン(ドラム)。その後、弟でキーボード・プレイヤーのイェンス・ヨハンソンと共にイングヴェイ・マルムスティーンに引き抜かれた彼は、アルバム『マーチング・アウト』(1985年)をはじめとする3枚のスタジオ作品とツアーに参加し、その名が知られるようになる。
イングヴェイのバンドから離れたアンダースは、イェンスと結成したヨハンソン・ブラザースやヨハンソンでの活動の他、ビリオネアーズ・ボーイズ・クラブやスネーク・チャーマーなど、数多くのレコーディングに参加すると、1999年にスウェーデンの人気メロディック・メタル・バンドのハンマーフォールに加入。アルバム制作とワールド・ツアーを精力的に行なった末、2014年にバンドを離れた彼は、セッション・ワークをこなしながら、2019年からニューヨークのパワー・メタル・バンドのマノウォーでもプレイしている。
こうして多忙な日々を送っているアンダースは2016年のある日、ニック(ギター)とカール(ベース/キーボード/スクリーム)の2人の息子から彼らが作った曲を聴かされ、自分が思いつかないようなモダンなメタル・チューンを気に入り、息子達とバンド結成を決意。シンガーに元クラウドスケープのマイク・アンダーソン(ヴォーカル)を迎えた彼らは、STROKKURというバンド名で実験的にデジタル配信のみによるアルバム『VANTABLACK』(2017年)をリリース。そして、タングステンと改名し、2019年『ウィ・ウィル・ライズ』で本格的にデビューを果たした。
インダストリアル・ミュージック・スタイルのデジタリックなビートを軸にしたしたパワフルな音楽は、重厚でかつメロディックで、北欧のフォーク・ミュージック的なメロディを取り入れた楽曲も目立つ。その直線的なビートとシリアスなムードにはラムシュタインを思わせる部分があるが、叙情性を感じさせるヴォーカル・メロディを取り入れた曲にはサバトンのような雰囲気ものもある。アンダース親子の一体感となった力強い演奏と、マイケルの表現力豊かなヴォーカルのマッチングも完璧で、北欧の伝統とモダンな要素を見事にミックスしている。