彼らが80年代に残した2枚のアルバム、『Seven Churches』(85年)と『Beyond the Gates』(86年)は、デス・メタルというジャンルの直接的ルーツである。さらに、84年に発表されたデビュー・デモのタイトルは、ズバリ『Death Metal』。つまり、ポゼストはデス・メタルの生みの親であると同時に、名づけ親でもあるのだ。だが、その影響力とは裏腹に、彼らは短命であった。前述の2枚のアルバムと『The Eyes of Horror』というEPのみを残し、87年、わずか4年でその活動に終止符を打つ。(正式に解散したのは89年という説もあり。)
多くのエクストリーム・メタルが解散をしても、結局はすぐに第一線復帰をしていく中、ポゼストは伝説であり続けた。事態が急転したのが07年。ヨーロッパ最大の野外フェス、ヴァッケン・オープン・エアに、ポゼストが登場することがアナウンスされたのだ。オリジナル・メンバーは、ヴォーカルのジェフ・ベセーラのみ。ジェフは89年、強盗に撃たれ下半身不随になるという悲劇に見舞われていたため、車椅子に乗ってのパフォーマンスであった。20年ぶりのポゼストの復活に、全世界のデス・メタル・ファンは狂喜したことは言うまでもない。(厳密には、ギタリストのマイク・トレイオを中心に、90年~93年も再結成されている。この時ジェフ・ベセーラは不参加。)その後、ジェフ・ベセーラを中心とした新生ポゼストは、フェスの出演やツアーを継続。14年には日本にもやって来ている。当然、ニュー・アルバムへの期待も大きく、新曲を書いているという噂は流れ続けていたものの、なかなか具体的な情報が出てこなかった。だが、ついに2019年、33年ぶりとなるサード・アルバム『レヴェレイションズ・オブ・オブリヴィオン』をリリースした。