アンスラックスのスコット・イアン(G, Vo)、ロブ・カッジアーノ(G, Vo、現ヴォルビート)、フォール・アウト・ボーイのジョー・トローマン(G, Vo)、アンディー・ハーレー(Dr)、エヴリ・タイム・アイ・ダイのキース・バックリー(Vo)という、ゴージャスすぎるメンバーによる、これぞスーパースター・バンド、ザ・ダムド・シングス。
そのデビュー・アルバム『Ironiclast』は、2010年にリリースされた。「ブルースというルーツに忠実なリフがメインのロック・バンド」というのが、そのコンセプト。往年のクラシック・ロックと現代的ヘヴィ・メタルを掛け合わせたようなそのサウンドは、まさにアンスラックス、フォール・アウト・ボーイ、エヴリ・タイム・アイ・ダイのケミストリーであり、『Ironiclast』は幅広い層の音楽ファンから大きな喝采を浴びた。その後さらに、当時エヴリ・タイム・アイ・ダイのベーシストであったジョッシュ・ニュートンも加わり、ダウンロード・フェスティヴァルやヘルフェストなど、ヨーロッパの巨大フェスへの出演も果たした彼らだが、さすがにこれだけのメンツが集まってしまうと、継続的な活動は容易ではない。当然、それぞれのバンドは多忙を極める。残念ながら12年、ザ・ダムド・シングスは無期限の活動休止という決断を下すこととなった。
事態が動き始めたのが2018年の夏ころ。スコット・イアンが、「ザ・ダムド・シングスのメンバーとは今でも友人だし、定期的に連絡をとっているよ。おそらく新しいレコードも作れるんじゃないかな」と発言したのだ。そしてついに2019年、待望のセカンド・アルバム『ハイ・クライムス』がリリースされた。
『ハイ・クライムス』はロブ・カッジアーノが参加しておらず、ベースもジョッシュからアルカライン・トリオのダン・アンドリアーノに変わっているが、その他のメンバーは同じ。相変わらずのゴージャスすぎる布陣だ。アンスラックスやエヴリ・タイム・アイ・ダイを彷彿とさせるヘヴィ・メタル、エクストリーム・メタル的要素、フォール・アウト・ボーイお得意のポップ・パンク的キャッチ―なコーラス、そしてブルージーな味付け。さりげないツイン・ギターのハーモニーには、シン・リジィの影も見える。これだけのメンバーが揃って駄作など出来ようはずがない。
ヘヴィに、ポップに、メランコリックに。クラシック・ロックとモダン・メタルを掛け合わせた、すべてのロック・ファンにおくるマスターピースが完成した。