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チュニジア出身のプログレッシヴ・ヘヴィメタル・バンド、ミラス。LOUD PARK16における圧巻のステージで、ここ日本でも一気にその名が広まった彼らだが、その活動歴は意外と長い。前身バンド、X-Tazyが結成されたのが01年のことだから、キャリアはほぼ20年に及ぶのである。大きな転機が訪れたのが06年。バンド名を現在のミラスへと改めただけでなく、その後彼らのプロデューサーを務めることになる、フランスのプログレッシヴ・メタル・バンドのキーボーディスト、ケヴィン・コドフェールと出会ったのだ。翌07年にはそのケヴィンをプロデューサーに迎え、『Hope』でアルバム・デビュー。その後もケヴィンとのタッグは続き、10年にはセカンド・アルバム『Desert Call』、11年にはサード・アルバム『Tales of the Sands』をリリース。チュニジア及びアフリカ、アラブなどの民俗音楽からの影響を積極的に取り込んだ、その独特なスタイルで、世界中のメタル・ファンに「チュニジアにミラス有り」と強く印象づけた。『Tales of the Sands』リリース後、ドリーム・シアターやシンフォニーXらとの積極的なツアーや、プログレッシヴ・メタルの祭典、ProgPower USAやProgPower Europe(こちらはヘッドライナー!)への登場もあり、その名声は一気にワールドワイドになっていった。前作から5年のブランクを置いた4枚目『Legacy』では、弦楽隊に加え、アラブの笛、ネイなどもフィーチャ。チュニジアというアイデンティティを前面に押し出したこの傑作が、彼らにヨーロッパ大手、earMUSICとの契約をもたらした。
そして19年、5枚目のアルバム『シェヒーリ』をリリース。さらに9月にはMETAL WEEKENDで来日も果たし、ファンはもちろん、ハンマーフォールやロニー・ロメロといった共演者からも絶賛の嵐となった。20年には、チュニジアのカルタゴで行われたライヴの模様が収録されたCD/DVD『ライヴ・イン・カルタゴ』をリリースした。
2024年にはアルバム『Karma』をリリース。前作から約5年、まさにファン待望の新作である本アルバムでも、エピックでパワフル、そして適度にプログレッシヴでエスニックなパワー・メタルが炸裂。とにかくキャッチーで、一度聴いたら忘れられない名曲満載だ。ますます磨きがかかるザヘルのハイトーン・ヴォイスにも要注目。キーボーディストのエリエスが脱退したため、本作ではAdagioのメンバーであり、長年Myrathの参謀閣を務めているケヴィン・コドフェールがキーボードを担当。