世界一のメタル大国フィンランドが誇るフォーク&トラッド・メタルの“森の妖精”コルピクラーニ。ヴァイオリンやアコーディオンをフィーチュア、フィンランドの神話や大自然、村祭りなどを題材にしたメタル・サウンドがヨーロッパ全土で人気を集め、この現象は日本をも席巻、来日ライヴも実現している。
コンスタントにアルバムを発表し唯一無二のコルピクラーニ・ワールドを築き上げてきた彼らは、2017年、それまでのキャリアの集大成といえるライヴ・アルバム/映像作『Live At Masters Of Rock』を発表。そしてバンド新章のビギニングとなったのが2018年に発表した10thアルバム『北欧コルピひとり旅』だ。我々を遠い世界へといざなう“旅路”であり、聴く者は往く先々で喜び、悲しみ、恋に落ち、美酒に酔いしれ、長年彼らの作品と題材となってきた森林からの旅立ちを告げる意欲的な作品となった。
2021年4月には11枚目となるアルバム『コルピの暗黒事件簿』をリリース。前作では多少スローダウンし、内省的な作風を見せた彼らだが、今回は30代の新ドラマーが加入したこともあり、「いつものコルピクラーニが帰ってきた!」と言える作品に仕上がっている。ヘヴィなギターリフに、アコーディオンとヴァイオリンが飛び回るキャッチーなフォーク・メロディというおなじみの要素に加え、新たなチャレンジも見られる。オープニング・ナンバーでは、ヴォーカルも含め露骨にジューダス・プリーストを彷彿とさせるパートが飛び出すし、パンクやモロにレゲエなナンバーまで収録されている。メタル・ファンなら誰もが知っているボドム湖殺人事件を含め、殺人事件をテーマとした曲が複数収録されているのも新境地。 エクソダスのジャック・ギブソンがバンジョー(!)でゲスト参加。
そして2024年4月、12枚目のアルバム『コルピと温故知新の旅』をリリース。同じくフィンランドのフォーク・メタル・バンド、Turisasのヴァイオリニスト、Olli Vänskäを新メンバーに加えて制作された本作について、ヨンネはこう語る。「このアルバムを作り始めた時、ゴールを定めたんだ。最近のアルバム、特に18年の『北欧コルピ一人旅』は、全体的に少々スローだったから、今回はもっと速いテンポのアルバムにしたかった。昔のKorpiklaaniみたいにね。」往年のKorpiklaaniファンにとって、これ以上の言葉があろうか?ヨンネの言う通り、アルバム冒頭から、ファン待望の初期への回帰と言える、ヘベレケ疾走ナンバーが炸裂。これぞコルピ、これぞフォーク・メタルといった仕上がりとなっている。