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ハード・ロック界のトップ・シンガーとして君臨するグラハム・ボネットはレインボーからマイケル・シェンカー・グループを経て、自ら率いるアルカトラスを1983年に結成。イングヴェイ・マルムスティーンとスティーヴ・ヴァイという2大ギタリストを世に出してきた。 近年ではグラハム・ボネット・バンドとマイケル・シェンカー・フェストで活動してきた。
2018年8月にリリースされた『ライヴ・イン・ジャパン1984〜コンプリート・エディション』は、奇跡的に発見された24チャンネル・マルチトラック・テープから音声をリミックス、デジタル・リマスタリングによる高音質化を実現。さらに4スイッチアウトの映像ソースから新たに再編集を行い、ライヴ・パフォーマンスの迫力と臨場感を再現している。
アルカトラスの1984年1月28日・中野サンプラザでのライヴは、1984年にビデオ/LD『メタリック・ライヴ’84』として発売され、映像/音声がアナログ/モノラル、さらに曲間にインタビューを挿入、編集処理が施された1980年代の映像ソフト然とした作りだったが、本作は倉庫に眠っていた素材から再構成。まったく未発表だったカメラアングルを交えた完全版ライヴ作品へと変貌を遂げている。オープニングからメンバー全員が揃いの黒浴衣で挨拶するラストまで全88分を駆け抜け、曲間MCなども可能な限り収録した“完全版” 。これまで未発表だったアングルも多く、ギター・ソロ中の手元アップや各メンバーの演奏のツボをより鮮明に捉えられている。
2020年7月には、満を持してアルカトラス名義での34年ぶりとなる新作スタジオ・アルバム『ボーン・イノセント』をリリース。
ジミー・ウォルドー(キーボード)、ゲイリー・シェア(ベース)というオリジナル・メンバーが加わったことで、オーセンティック(正統派)アルカトラス・サウンドが完全復活を果たしている。
グラハムがパートナーに選んだギタリストは、ジョー・スタンプだ。ソロ・アーティストとして、そしてジョー・スタンプ・レイン・オブ・テラーを率いてきたジョーは2019年のアルカトラス来日公演に同行、アルカトラス『ノー・パロール・フロム・ロックンロール』(1983)とレインボー『ダウン・トゥ・アース』(1979)という2大名盤を完全再現した名手。『ボーン・イノセント』では王道ハード・ロック/ヘヴィ・メタルを貫きながら、ジョーならではのアイデンティティを込めたギター・プレイを披露している。
さらに『ボーン・イノセント』にはグラハムの栄光のキャリアを彩ってきた名ギタリスト達が総集結。クリス・インペリテリ (インペリテリ)、ボブ・キューリック (ブラックソーン)、ダリオ・モロ (ボネット/ドン・エイリー・バンド) らが参加し、スティーヴ・ヴァイも楽曲提供している。加えて、昨年の来日公演にもゲスト参加した若井望 (ショーティノ/ディスティニア) も作曲とギターで参加している他、ライオットのベーシスト、ドン・ヴァン・スタヴァンも6曲でプレイしている。
グラハムのヴォーカルも絶好調。天井を突き抜けるシャウトは、彼が新たなピークを極めていることを証明する。兄トニーに捧げる「フォー・トニー」に漲るエモーションも、我々の心に染み入るものだ。“No Parole From Rock ‘n’ Roll”魂を受け継ぐ『ボーン・イノセント』で、アルカトラスが新時代を揺るがす!集大成にして原点回帰したこのアルカトラス・サウンドからは脱獄不能だ!