ウィズイン・テンプテーションのキーボード・プレイヤーだったマタイン・ウェスターホルトが中心となって2002年にスタートしたディレイン。当初、バンド・スタイルで活動を行なっていたものの、すぐに解体したマタインは、ソロ・プロジェクトとして再始動し、数多くのゲストやセッション・ミュージシャンを起用して、デビュー作『ルシディティ』(2006年)をリリースする。シンフォニック/ゴシック・メタル・スタイルの音楽を特徴にしたこの作品でメイン・ヴォーカルを務めたシャルロット・ウェッセルスと新たに4人のメンバーを迎え、ディレインを正式なバンドとして動き出した彼らは精力的にライヴ活動を行なった後、2ndアルバム『エイプリル・レイン』(2009年)を発表。オランダ・チャート最高14位にランク・インし、一気に知名度を上げると、優雅で華やかな楽曲を並べた3rdアルバム『ウィ・アー・ジ・アザーズ』(2012年)はオランダ・チャート最高4位に入るヒットとなり、人気バンドの地位を確立する。
さらに、4thアルバム『ヒューマン・コントラディクション』(2014年)、EP『ルナー・プレリュード』(2016年)、5thアルバムの『ムーンベイザース』(2016年)をリリースすると、デビュー10周年を記念して、2016年12月10日に地元オランダのアムステルダムで行なったライヴを収録したCD/DVD『ア・ディケイド・オブ・ディレイン ~ライヴ・アット・パラディソ』(2017年)を発表し、ゴージャスなパフォーマンスでファンを魅了することに成功。
その後、スタジオ曲と2017年のライヴ音源10曲を収録したEP『ハンターズ・ムーン』(2019年)を挟んで、2020年約3年半ぶりに登場したのが、6枚目のフル・アルバム『アポカリプス・アンド・チル』である。
女性ギタリストのメレル・ベクトールドが脱退したため、5人体制で制作されたこの作品は、重厚さと神秘性が見事にマッチした楽曲が並んでおり、シャルロットの美しい声によって歌われるメロディも実に印象的だ。