1988年にイギリス北部のウェスト・ヨークシャー州ハリファクスにて、ニック・ホルムズ(ヴォーカル)とグレッグ・マッキントッシュ(ギター)らによって結成されたパラダイス・ロスト。1991年にリリースした2ndアルバム『ゴシック』(1991年)でゴシック・メタルというスタイルを提示した彼らは、メロディアスに進化した『アイコン』(1993年)や『ドラコニアン・タイムズ』(1995年)で日本でも一気に知名度を上げることに成功する。
その後、ヘヴィなスタイルから遠ざかった時期もあるが、『シンボル・オブ・ライフ』(2002年)以降、ヘヴィなギター・サウンドとパワフルなビートを軸にしたスタイルへと戻った彼らはアルバム毎に原点へと近づいていき、前作の『メデューサ』(2017年)ではミドル/スロー・テンポの楽曲を中心にヘヴィでダークな世界をこれまで以上に深く追求。この作品でデス・メタル、ドゥームの要素を感じさせるスタイルを披露した彼ら。2020年には、約3年ぶりの16thアルバム『オブシディアン』をリリース。
『オブシディアン』は、『メデューサ』の流れを汲みつつ、ゴシックのテイストも強く押し出し、ヘヴィなサウンドの中に美を感じさせるような楽曲が並ぶ。ニックのエモーショナルな歌も聴きどころとなっており、中には『アイコン』や『ドラコニアン・タイムズ』の時代を彷彿とさせるものもある。どの曲も重厚でありながら洗練されており、パラダイス・ロスト本来の魅力を踏襲しつつ、現代的なスタイルへとアップデートしたような作品に仕上がっている。