PRONGは1986年、ヘヴィ・メタルとハードコア・パンクがまさに核融合していた時代に登場したハードコア/クロスオーヴァー/メタル・バンドだ。ニューヨークの有名なパンク/ハードコア・クラブ『CBGB』にてサウンド・エンジニアとして働いていたトミー・ヴィクター(ヴォーカル/ギター)、同じく『CBGB』のスタッフだったマイク・カークランド(ベース)、前衛ロック・バンド、SWANSの元メンバーであるテッド・パーソンズ(ドラムス)のトリオ編成で、EP『PRIMITIVE ORIGIN』とアルバム『FORCE FED』を1987年にレコーディング(レーベルの問題により『FORCE FED』が発表されたのは1989年だった)、そのストレートでアグレッシヴなハードコア/スラッシュ・サウンドはアンダーグラウンド・シーンでじわじわと人気を高めていった。
1989年、クラブ・シーンでのPRONGの評判を聞きつけたメジャー"Epic"が彼らと接触、両者の間での契約がまとまり、翌1990年に通算2枚目のアルバムであり"Epic"からの第1弾である『BEG TO DIFFER』がリリースされた。ソリッドでパワフルなギター・リフとリズムで叩きつけ、迫真の言葉を吐き出すような作風のこのアルバムは瞬く間に評判を呼び、日本リリースも実現してスラッシュ・メタルやハードコアのリスナーの間で高く評価された。
その後、彼らは『PROVE YOU WRONG』(1991年)、『CLEANSING』(1994年)、『RUDE AWAKENING』(1996年)といった力作を続々とリリース、重厚で濃密なハードコア/スラッシュ・サウンドにインダストリアル・ミュージックの要素を取り入れながらその音楽は漸次進化を遂げていったのだが、『RUDE AWAKENING』のツアー中にポール・レイヴンが脱退。代役を立てながらライヴを行なっていたが、1997年、トミーの決断によりPRONGは一旦解散した。
PRONGが活動を再開させたのは2002年。オリジナル・メンバーはトミー1人だけだったが、2003年発表の復活第1弾にして通算6枚目のアルバム『SCORPIO RISING』で再びシーンの最前線に躍り出た。2012年、新たにドイツの"Long Branch Records/SPV"と契約した彼らは、通算8枚目のアルバム『CARVED INTO STONE』を発表。その後"SPV"に正式に籍を置くことになり、『RUINING LIVES』(2014年)、カヴァー・アルバム『SONGS FROM BLACK HOLE』(2015年)、『X (NO ABSOLUTES)』(2016年)といったアルバムを発表している。
最初のEP『PRIMITIVE ORIGINS』での登場からちょうど30周年となる2017年には、前作『X (NO ABSOLUTES)』からわずか1年のブランクで完成した通算11枚目のオリジナル・スタジオ・アルバム『ZERO DAYS』をリリースしている。