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ガンマ・レイを脱退したラルフ・シーパースに、シナーのマット・シナー(b)とトム・ナウマン(g)が何か一緒にやろうと声を掛けたことでスタートしたプライマル・フィア。“Nuclear Blast”と契約した彼らは、ラルフの友人のクラウス・シュペリング(ds)を迎えたメンバーでレコーディングを行ない、アルバム『プライマル・フィア』(1997年)でデビューを果たす。当初、アルバム1枚限りのプロジェクトの予定だったが、ラルフの強烈なハイ・トーン・ヴォイスを武器にしたメロディック・パワー・メタルがヨーロッパや日本で高く評価されたことで、本格的にバンドとして活動をスタートさせることを決意。その後何度かメンバーが入れ替わりながら精力的にアルバム制作とライヴ活動を実施した彼らは、“Nuclear Blast”から6枚のアルバムをリリースした後、初のベスト・アルバム『メタル・イズ・フォーエヴァー~ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・プライマル・フィア~』(2006年)を発表する。
その後、“Frontiers”レコードと契約したバンドは7枚目のアルバム『ニュー・レリジョン』(2007年)をリリースした後、マグナス・カールソン(g)が正式メンバーとなって8thアルバム『16.6 (ビフォア・ザ・デヴィル・ノウズ・ユー・アー・デッド)』(2009年)を発表する。さらに9thの『アンブレイカブル』(2012年)、10thの『デリヴァリング・ザ・ブラック』(2014年)、マグナス、トム、アレックス・バイロット(g)のトリプル・ギターに、元U.D.O.のフランチェスコ・ジョヴィーノ(ds)も加わった新体制で11thの『ルールブレイカー』(2016年)をリリースした彼らは、マグナスを除くメンバーで、2016年2月からヨーロッパからツアーを開始し、4〜5月北米ツアー、6月には来日公演を実現。その後はオーストラリア、ヨーロッパを挟んで、9月には南米、さらに10〜11月にはドイツ、イタリア、スイスでもライヴを行なった。その中のドイツ公演を収録した映像作品『エンジェルス・オブ・マーシー〜ライヴ・イン・ドイツ 2016』を2017年5月にリリースしている。日本公演を含むワールド・ツアーを経て、2017年11月には、通算2枚目となるベスト・アルバム『ベスト・オブ・フィア』をリリース。
2018年、12thアルバム『アポカリプス』をリリース後、11月に来日公演を実施。2020年には、久々に“Nuclear Blast”に復帰し、13thアルバム『メタル・コマンド』をリリース。22年には、98年2月2日にリリースされた、まさに彼らの原点と言うべきデビュー・アルバム『プライマル・フィア』を再発売している。
23年9月には3年ぶりのニュー・アルバム『コード・レッド』をリリース。今回も3人のギタリストが大活躍。収録された11曲の最初から最後まで、ヘヴィメタル以外の不純物は一切見当たらない。ヘヴィメタルとは何なのかと問われたら、プライマル・フィアを聴かせれば事足りるのだ。