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1979年にデビューしたアクセプトは、従来のハード・ロックに疾走感を加えたアグレッシヴなサウンドが主体のバンドで、パワーメタルの代表的なバンドの一つとして、主にヨーロッパや日本で人気を博していた。1985年にクラシック音楽からの影響をダイレクトに反映させた5thアルバム『メタル・ハート』を発表。このアルバムはヨーロッパや日本などの国々で熱狂的な支持を受け、特にベートーヴェン「エリーゼのために」をギターソロに挿入したタイトル曲は、ヘヴィ・メタル史上屈指の名曲として今だに愛され聴き継がれている。ドイツは世界有数のメタル大国であると同時に、バッハ、ベートーヴェン、ブラームス、メンデルスゾーン、ワーグナー等々、世界的に有名な作曲家を数多く輩出した音楽大国でもある。ドイツ出身の彼らが長きに渡り支持され続けているのは、ヘヴィ・メタルの中にクラシック音楽の要素を盛り込んだこの音楽性が挙げられるだろう。
1989年のアルバム『イート・ザ・ヒート』発表後にバンドは一度解散するも、根強い多くのファンに応える形で1993年に再結成。1996年に再結成3作目のアルバム『プレデター』を発表後に再び解散。ところが2010年にニュークリア・ブラストとの契約を得て14年ぶりのアルバム『ブラッド・オブ・ザ・ネイションズ』を発表。すると、ドイツのアルバム・チャートで過去最高の4位を記録し、国民的メタル・バンドに返り咲く。2014年には14thアルバム『ブラインド・レイジ』を発表。2015年4月、ギタリストのウヴェ・ルイスとドラマーのクリストファー・ウィリアムズが加入し、2017年1月には2015年の欧州でのブラインド・レイジ・ツアーでの音源映像を収録した作品『レストレス・アンド・ライヴ』を発表。
2017年8月に3年ぶりとなる15thアルバム『ザ・ライズ・オブ・ケイオス』を発表、その翌日にはドイツで開催された世界最大級のメタル・フェスティヴァル“ヴァッケン・オープン・エア”においてオーケストラとの生共演を実現させ、ヘヴィ・メタルの歴史に新たな1ページを刻んだ。
2024年4月、3年ぶりにアルバム『Humanoid』をリリース。本作では、AIやテクノロジーといったモダンなテーマが展開されていく。だが、楽曲の方は相変わらず。リフに次ぐリフは、どれもひたすらヘヴィ。マークのヴォーカルも、相変わらず剃刀のような切れ味を見せる。17作目となる今回の作品でも、不純物一切無しの硬派なヘヴィメタルが大炸裂。