1996年にカリフォルニア州サンディエゴで結成して以来、キャトル・ディキャピテイションはデス・メタルとグラインドコアの最も激しい部分を融合させながら、あふれ出る憤怒と暴力衝動を音楽にしてきた。ヴォーカリストのトラヴィス・ライアン、2作目『トゥ・サーヴ・マン』(2002)から加入したギタリストのジョシュ・エルモアを軸として、彼らはエクストリーム・メタル界を蹂躙。6作目となる『モノリス・オブ・インヒューマニティ』(2012)はブルータルなサウンドにメロディを加えた音楽性が高評価を得て、米『ビルボード』誌の“ヒートシーカー”チャート第6位という異例のヒットを記録している。
自ら“デス・メタル・プログレッシヴ・グラインド”と形容し、怒号にも似たゴアな咆哮、肉をそぎ取るギター・リフ、ひたすらグラインドするヘヴィネスと人間の領域を超えたビートが一丸となって襲いくる作品は、環境破壊により自滅への道を歩む人類に向けた警告である。
クリプトプシーのオリヴィエ・ピナールを新ベーシストに迎え、ツアー・メンバーだったベリサリオ・ディムジオが正式にバンドの一員となったことで、演奏面も強化。ジョシュ・エルモアの激烈ギターとひとつの塊を成して、暴力的な音楽体験を生み出す。
ジャケット・アートワークを描いているのはスレイヤーやヴェイダー、クリエイター、ナイルなど数々のエクストリーム・メタル名盤を手がけ、もはやキャトル・ディキャピテイションの作品に欠かすことが出来ないウェス・ベンスコターだ。炎上し煙を噴く地球を背負う死神アトラスの構図は、アルバムの世界観を見事にヴィジュアル化している。CDブックレットのメンバー全員が焼死体となったバンド・フォトも衝撃的だ。
デス・メタルとグラインドコアを超えて、怒りと絶望、情念と暴力衝動が渦巻くエクストリーム・ゾーンへの突入!キャトル・ディキャピテイションが放つ作品は、人類滅亡のサウンドトラックだ。