デススターズはまさにスウェーデンのデス/ブラック・メタル・シーンが生み落とした鬼子のような存在だ。ディセクション、スウォードマスター、オフサラミアといった、スウェーデンのみならず世界中のアンダーグラウンド・シーンのメタル・マニアを魅了し、更には後続の多くのバンド達にもインスピレーションを与えたデス・メタル/ブラック・メタル・バンドの元メンバー達によって構成されているこのデススターズ。2000年にバンドが結成された際、やはりデス・メタルやブラック・メタルを演奏するバンドなのか、と多くのメタル関係者が捉えていたものだ。
結論としては、彼らは従来からずっと演奏していた古典的なデス/ブラック・メタル路線に別れを告げ、ミニストリーやラムシュタインといったバンド達に触発されたインダストリアル・メタル/ゴシック・メタルを新たに追究すべくスウォードマスターという名前を捨ててデススターズと名乗るようになったのだ。
2003年にアルバム「シンセティック・ジェネレーション」でデビュー、アンダーグラウンド・デス・メタルのアグレッションをそこかしこに残してはいたが、リズミックに畳みかけるビートやゴシックの色合いが滲むダークでミステリアスなヴォーカル・メロディ、そしてデス・メタルとは本来的に対極に位置するはずのキーボードによるプログラミングをも派手に使用、スウォードマスターやディセクションの時代にリリースしたものとはおよそ似つかない新しいスタイルのメタルを提示したのだった。
デススターズは以後、「ターミネイション・ブリス」(2006年)、「ナイト・エレクトリック・ナイト」(2009年)といったオリジナル・アルバムや「ディケイド・オブ・ディバウチェリー」(2010年)、「ザ・グレイテスト・ヒッツ・オン・アース」(2011年)という2枚のコンピレーション・アルバムを発表、KORNやクレイドル・オブ・フィルス、ラムシュタインといった大物バンド達の前座を務めたライヴ・パフォーマンスの面でもヨーロッパのシーンで話題を呼んだ。
2014年には、前作から約4年振りとなる4枚目のオリジナル・スタジオ・アルバム「ザ・パーフェクト・カルト」をリリース。デススターズのダークで病的で耽美的な独創的世界観は更なる深化を遂げている。
2023年5月、実に9年ぶりとなるニュー・アルバム『Everything Destroys You』をリリース。もちろんデススターズは不変。本作もヘヴィでセクシーで、グラムチック。猥雑でノリノリのインダストリアル・メタルが炸裂する。