ボブ・カトレイ(ヴォーカル)とトニー・クラーキン(ギター)が中心となって1972年にイギリスのバーミンガムで結成されたマグナム。デビュー・アルバム『KINGDOM OF MADNESS』(1978年)ではプログレッシヴ・ロックの要素を取り入れたハード・ロックを展開した彼らは、よりメロディックで洗練された内容になった3rdアルバム『CHASE THE DRAGON』(1982年)を全英チャート最高17位に送り込み、その名が広く知られるようになる。その後、楽曲がコンパクトになり、ヴォーカル・メロディに叙情性を加えたスタイルへと変化させた彼らは、5thアルバム『ON A STORYTELLER’S NIGHT』(1985年)が全英最高24位、7thアルバム『WINGS OF HEAVEN』(1988年)が全英最高5位、8thアルバム『GOODNIGHT L.A.』(1990年)が全英最高7位に入るヒットとなり、数々の名曲を残すこととなる。
90年代に入り、音楽シーンの変化もあって、バンドは1995年のラスト・ツアーの様子を収めたアルバム『THE LAST DANCE(UK盤は『STRONGHOLD』)』(1996年)を最後に活動に終止符を打つと、ボブはトニーとハード・レインの活動を経て、ソロ・シンガーとしてアルバム制作とライヴ活動を順調に行なう中、トニーからマグナム再結成の話が持ち掛けられ、80年代からバンドに在籍していたマーク・スタンウェイ(キーボード)、ハード・レインに参加していたアル・バロウ(ベース)と共に復活アルバム『BREATH OF LIFE』(2002年)をリリース。その後もコンスタントにアルバムを発表し、ヨーロッパでは安定した人気を誇っている。
2012年に発表した17thアルバムの『ON THE 13TH DAY』が久しぶりにイギリス・チャート・トップ50(最高43位)にランク・インすると、続く18thアルバム『ESCAPE FROM THE SHADOW GARDEN』(2014年)が最高38位、19thアルバム『SACRED BLOOD “DIVINE” LIES』(2016年)が最高31位、20thアルバム『LOST ON THE ROAD TO ETERNITY』(2018年)が最高15位とアルバム枚にチャートの順位がアップ。
2019年1月には、アルバム『LOST ON THE ROAD TO ETERNITY』を引っ提げて行なわれたツアーの様子を収めた、ライヴ・アルバム『ライヴ・アット・ザ・シンフォニー・ホール』をリリース。2018年4月19日に彼らの地元であるイギリスのバーミンガムにあるシンフォニー・ホールで行なわれたライヴで、メンバーはボブ・カトレイ、トニー・クラーキン、アル・バロウ、2016年から加入したリック・ベントン(キーボード)、2017年にメンバーとなったリー・モリス(ドラムス)の5人。
2020年には約2年ぶりとなる21thアルバム『ザ・サーペント・リングス』をリリース。ボブ・カトレイとトニー・ラーキンのオリジナル・メンバー2人と、今作が2作目の参加となるリック・ベントンとリー・モリス、さらに再結成以降、長きに渡ってベースをプレイしていたアル・バロウが2019年に脱退したため、新たに元ピンク・クリーム69のデニス・ワード(ベース)を迎えた新体制で制作され、近作同様にドラマティックなハード・ロック・チューンのオン・パレードとなっており、幻想的なムードもあるのが特徴となっている。英国のバンドらしいウエットな質感のある叙情派のヴォーカル・メロディ、ボブのエモーショナルな歌唱も素晴らしく、まさにヴェテランの風格を感じさせる。