1980年代にイタリアン・メタルのファースト・ウェイヴを代表するバンドのひとつであるクロスボーンズでデビューしたダリオ・モロ。ミュージシャンとして活動する一方でプロデューサー/エンジニアとしてラクーナ・コイルやアナセマ、スカイクラッドなどの作品を手がけるなど、ハード・ロック/ヘヴィ・メタル・シーンを表と裏から支えてきた。グラハム・ボネット&ドン・エイリー・バンドのツアーにギタリストとして参加するなど、世界的に高く評価されてきたダリオだが、現在の彼がアーティスト活動の両輪としているのが、トニー・マーティン(元ブラック・サバス)とのプロジェクト:ザ・ケイジ、そしてグレン・ヒューズとのヴードゥー・ヒルだ。
2000年に始動したヴードゥー・ヒルは、1970〜1980年代の正統派ハード・ロック/ヘヴィ・メタルを現代に蘇らせるプロジェクトだ。『ヴードゥー・ヒル』(2000)、『ワイルド・シード・オブ・マザー・アース』(2004)と2枚のアルバムを発表した後、2人の多忙なスケジュールが合わずに活動を休止していたが、ファンの期待が高まる中、11年ぶりに復活。
3枚目のアルバムとなる『ウォーターフォール』を2015年にリリース。前2作のハードでメロディアスな路線を受け継ぎながら、さらにスケール感がアップ。ダリオのギターはさらにブルージーなエモーションとトリッキーなテクニカル・フレーズが増し、リッチー・ブラックモアばりのソロを聴かせ、往年のハード・ロック/ヘヴィ・メタル・ファンのハートのツボを突くギター・プレイで魅せてくれる。グレンのヴォーカルも、現役の迫力とベテランの円熟を兼ね備えたものだ。ディープ・パープルやトラピーズでのシャウトは健在であり、近年ブラック・カントリー・コミュニオンやカリフォルニア・ブリードでヴィンテージなハード・ロックに接近したことの影響によるものか、よりソウルフルなヴォーカルを堪能できる。