商品説明 DETAIL アマゾンMP3ストア配信中 『コンポーザー・シリーズ』アルバム フランク・ザッパやジェフ・ベック、UK、ミッシング・パーソンズ、ブレッカー・ブラザーズからKoЯn、ファントマズまで幅広い活動で知られるテリーだが、唯一無比のドラミングのスタイルが貫かれてきた。近年ではソロ・ドラミングでのライヴも多く行っており、本作は彼自らによる、そのキャリアの総括である。音楽・映像・絵画・インタビューなどを通じて、テリー・ボジオのミュージシャン像・人間像に多角的に迫るのが『コンポーザー・シリーズ』だ。 DVDに収録されているのは、テリーのフル・ドラム・キットによるソロ・パフォーマンスだ。360度を取り囲むドラム・キットは、それ自体がテリーの“作品”であり、縦横無尽に繰り広げる演奏が、初めてマルチ・カメラで捉えられている。35分の映像は、生のライヴでも見ることが出来ない近距離と角度から彼の凄まじいテクニック、そしてリズム楽器の枠を超えたコンポーザーとしての才覚をあますところなく収めたものだ。さらに彼のインプロヴィゼーションの手腕もふんだんにフィーチュアされており、全編音楽的な閃きに彩られた映像作品として一瞬たりとも目を離すことを許さない。 CD4枚組はそれぞれ(1)『フュージョン1』、(2)『フュージョン2』、(3)『クラシック』、(4)『アンビエント』というコンセプトで分けた全59曲。テリーのドラムスを主軸に据え、彼自らプレイするシンセやピアノを加えたトラックが中心となっている。興味深いのは、特定のミュージシャンをイメージした曲、あるいは共演することを前提に書かれた曲があることだ。「マイルス」はマイルス・デイヴィス、「ジョー」はジョー・ザヴィヌル、「シックス・ミニチュアズ・フォー・ギター&ピアノ」ジョン・マクラフリン&チック・コリアへの音楽的トリビュートといえる曲だし、「ミー、ジェフ&トニー」はジェフ・ベックとトニー・ハイマスとの『ギター・ショップ』(1989)期グループ、「アル・アンド・ダグ」「OCD」「ADD」はアレックス・マカチェクとダグ・ランのアウト・トリオとの共演を前提とした曲だ。さらに「ウォッチド(アンダー・サヴェイランス)」はトム・コスター、「ロンド・フォー・ウッドウィンズ」はミック・カーンをイメージしている。さらに「ファシスト」「ヘヴィ・メタル」「ビースト」「ディスプレイスド」はテリーが参加したKoЯn『(無題)』(2007)のために書かれたが使われなかった曲だ。 テリーの日本通ぶりを表すジャポネスク・ナンバーが多く収録されているのも本作の特長だ。“浮世絵”“祭り”“俳句”の3部構成からなる「スリー・ポストカーズ・フロム・ジャパン」や「ファー・イースト」、「四羽のカラス」、「サイレン」、日本人の奥方に捧げた「マユミ」は、彼のフィルターを通した日本像を描写したもので、興味が尽きない。「アニメ」はテリーによるアニソンの解釈として、比較文化論的にも聴かれるべきナンバーだ。また「アラビア」、「アフロ-インダストリアル・フーガ」、「アン・アドヴェンチャー・イン・モダン・スペイン」など異国情緒を感じさせるナンバーも収録されている。 いずれの曲もテリーのテクニックに裏打ちされたトラックで、単なるスタジオ・デモやアウトテイクとは一線を画した完成度を誇っている。これまで数作のリーダー・アルバムを発表してきた彼だが、本作はそれらと異なったベクトルを持つ新機軸の作品だ。また、ブックレットとして添付される、それぞれの楽曲と呼応したテリーによるペインティングは、 彼が音楽をどう“視た”かの心象風景をヴィジュアル・アート化する大胆な試みだ。 「過去の自分でなく、現在の自分を見て欲しい」とテリーは語る。2015年、『Composer Series』は現在進行形のアーティストとしてのテリー・ボジオの姿を、未来に向けて保存する。