商品説明 DETAIL フランス語圏であるカナダのケベックは、なぜか一風変わったエクストリーム・メタル・バンドを輩出し続けている。Voivod、DBC、Gorguts、Cryptopsy、Martyr。いずれも強烈な個性を持ったバンドばかりだ。そんな系譜に属するのが、プログレッシヴ・テクニカル・デス・メタル・バンド、ビヨンド・クリエイション。05年にシモン・ジラール(ヴォーカル、ギター)を中心に結成された彼らは、11年に『The Aura』でアルバム・デビュー。本作は、自主制作ながら、そのずば抜けたクオリティの高さで大きな話題となり、結果バンドはフランスのSeason of Mistとの契約を手にする。Season of Mistは、まず13年に『The Aura』を再発。続いて14年にはセカンド・アルバム『Earthborn Evolution』が発表され、ビヨンド・クリエイションの名は、世界中に轟いていった。ツアーにも熱心な彼らは、ここ日本にも2度やってきているから、その圧倒的演奏力を目の当たりにされた方も多いことだろう。 そして今回リリースとなるのが、サード・アルバム『アルゴリズム』だ。シモンは本作について、「テクニカルさは減り、プログレッシヴさが増した」と表現している。当然のことだが、テクニカルであることとプログレッシヴであることは、まったく別物。プログレッシヴではあっても、テクニカルでないバンドも少なくない。その代表と言えるのが、ピンク・フロイドだろう。彼らの音楽は限りなくプログレッシヴであるが、決してテクニカル性を意図したものではない。そして『アルゴリズム』にとって、そのピンク・フロイドが1つのキーとなる。シモンによれば、「ピンク・フロイドは最も好きなバンド」であり、『アルゴリズム』は「ビヨンド・クリエイション史上、もっともピンク・フロイドからの影響が顕著になったアルバム」なのだ。確かに過去2作に比べ、本作では音楽の幅が広がっていると言える。よりメロディが重視され、さまざまなテンポの曲が収められている。ストリングスやフレンチホルンなど、本物のオーケストラ楽器を使用したシンフォニック・アプローチも、ピンク・フロイドの香りを感じさせるものだ。 シモンは「テクニカルさは減った」とは言っているものの、それはあくまでビヨンド・クリエイション基準での話。過去2作に比べれば、相対的にはシンプルなプレイになっているかもしれない。だが、一般の基準からすれば、彼らのプレイは十分すぎるほどテクニカル。そんな彼らの特長の1つが、弾きまくりのフレットレス・ベースであるが、15年、ベーシストのドミニクが脱退。今回新たにユーゴ・ドワイヨン・カルーが加入している。しかし心配ご無用。ユーゴもフレットレス・ベースをこれでもかと弾きまくり。ギターもドラムも相変わらずの手数の多さで、これで「テクニカル性減退」とは、彼らの基準は一体どうなっているのだろう。 テクニカルというと、とっつきづらい印象を持つ人も少なくないかもしれないが、ビヨンド・クリエイションにそんな心配は必要ない。もともと聞きにくさとは無縁であった彼らだが、『アルゴリズム』は輪をかけて親しみやすい作品に仕上がっている。ビヨンド・クリエイションにとって、テクニカル・プログレッシヴ・デス・メタルとは、「美しくプログレッシヴな楽曲を、しっかりとしたテクニックを持って演奏をする」という意味なのだ。『アルゴリズム』は、テクニカルなバンドのファンも、そうでないファンも同時に満足させる作品なのである。 前作、前々作に引き続き、ミックス、マスタリング、プロデュースはケベックの大先輩、Cryptopsyのギタリストであるクリスチャン・ドナルドソンが担当。 【メンバー】 シモン・ジラード (ヴォーカル、ギター) ケヴィン・シャルトレ (ギター、バック・ヴォーカル) ユーゴ・ドワイヨン・カルー (ベース) フィリップ・ブシェ (ドラムス)