商品説明 DETAIL エクストリーム・メタルの歴史も40年になろうかという昨今、個性的であるというのもなかなか難しくなってきた。あらゆるアイデアが試され、かつてはまったく新しい音楽であったはずのエクストリーム・メタルも、だんだんと伝統芸能へと近づいている感もある。だが、そんな中、ドイツのマンターは大きな例外の1つであると言える。決して奇をてらった音楽をやっているわけではない。ただひたすらヘヴィでラウドなスタイルをストイックに追求する彼ら。だが、彼らの存在は、他のエクストリーム・メタル・バンドとは大きく異なっている。 マンターの結成は12年。現在の基準からすると、だいぶ若いバンドだ。彼らの一番の特徴は、ヘヴィな音楽を追求しているにもかかわらず、ベースレスの2人組ということだろう。2人だけというのが、彼らのポリシーだったわけではない。当初、ギター・ヴォーカルのハンノ、そしてドラムのエリンチは、他のバンドと同じようにベーシストを探していた。だが幸か不幸か、知り合い全員にあたってみても、誰も加入の意志を示すものはいなかったのである。それならそれで構わない。ちょっとした工夫をすれば、2人でも十分パワフルでヘヴィな音が出せる。2人きりで録音してみた音源は、あっさりとフィンランドのSvart Recordsとの契約をもたらし、マンターは14年、『Death by Burning』でアルバム・デビューを果たすこととなる。となれば、もはやベーシスト探しをする必要なんてない。2人で十分やっていけると証明されたのだから。 その後マンターは、激しいツアーをこなしていく。当時ツアーに明け暮れていたハンノは、住むところすら必要ないと、借りていたアパートを引き払ったほど。たった2人とは思えない凄まじい轟音のステージで大きな話題となった彼らは、あっという間にヨーロッパ大型フェスの常連となっていく。そして結成からわずか3年で、彼らはメタル界最高峰のレーベル、ニュークリア・ブラスト・レコードと契約。16年のセカンド・アルバム『オード・トゥ・ザ・フレイム』は、ここ日本でも発売され、また翌17年には来日公演も実現。2人が繰り出す轟音ステージは、多くのエクストリーム・ミュージック・ファンの度肝を抜いた。 冒頭マンターの音楽は、「他のエクストリーム・メタル・バンドとは大きく異なっている」と書いたが、実際彼らの音楽をカテゴライズするのは難しい。バンドの資料では、「ブラック・ドゥーム・パンク・キメラ」と、ほとんどヤケクソの分類がなされているが、確かに彼らのスタイルは、ドゥーム・メタルでありブラック・メタルであり、そしてパンクでもあると言えるし、そのいずれでもないとも言える。面白いのは、ハンノとエリンチの2人に、「さまざまなジャンルを融合してやろう」という野心など一切ないことだ。彼らは「ハードでエクストリームな音楽をやりたい!」ということ以外、細かいことは何も考えていないのだ。ただただ爆音でヘヴィな演奏をした結果、どんなバンドとも違う、マンター・サウンドが自然とできあがったのである。そしてそのサウンドは、メタル、パンク関係なく、あらゆるエクストリーム・ミュージック・ファンの大きな支持を集めることとなった。 今回リリースとなるサード・アルバム『ザ・モダン・アート・オブ・セッティング・アブレイズ』も、そんなマンター・サウンドで埋め尽くされている。とにかくうるさくて、とにかくヘヴィ。そしてロックのヴァイブに溢れている。ときにサバスやMelvinsを感じさせ、ときにブラック・メタルっぽくもあり、そしてパンクっぽいフィーリングもある。やはり無理やりジャンル分けをしようとすれば、「ブラック・ドゥーム・パンク・キメラ」という表現を使うしかない。「何だかわからないがとにかくうるさくてヘヴィ」というロックの真髄を伝える本作は、エクストリームな音楽を愛する人間の心を確実に揺さぶるだろう。昨年の彼らのステージに痺れた人も、マンター初体験という人も、ぜひ『ザ・モダン・アート・オブ・セッティング・アブレイズ』を聴いてみて欲しい。そのあまりのヘヴィネスぶりに、ノックアウトされること間違いなしだ。 【メンバー】 ハンノ(ヴォーカル、ギター) エリンチ(ドラム、ヴォーカル)