90年代終わりに彗星の如く登場し、あっという間にエクストリーム・メタル界を席巻したチルドレン・オブ・ボドム。そのキーボーディスト、ヤンネ・ウィルマンが、2000年に弟のアンティとサイド・プロジェクトとして始めたのが、ウォーメンである。同年にはスパインファーム・レコードからデビュー・アルバム『Unknown Soldier』をリリース。その後も『Beyond Abilities』(01年)、『Accept the Fact』(05年)、『Japanese Hospitality』(09年)、『First of the Five Elements』(14年)とアルバムを重ねていった。だが19年、チルドレン・オブ・ボドムは解散。家族との時間を大切にしようと、ヤンネは音楽の世界から去ることを決意したのだ。とは言え、根っからのミュージシャンであるヤンネのこと。音楽を作りたいという欲求は日に日に高まっていった。さらに一旦は引退した身の身軽さゆえ新曲のアイデアが次々とあふれ、彼はウォーメンの復活を決めた。
2023年3月、ウォーメンによる14年の『First of the Five Elements』が再発。本作はクラウドファンディングの支援者向けに作られたアルバムであり、当時極々少数のCDがプレスされたのみ。そのサウンドは、とにかくキーボード弾きまくり、ネオクラシカル風味たっぷりのパワー・メタルである。当時はメンバーにヴォーカリストを欠いていたがゆえ、本作は今は亡きアレキシ・ライホなど複数のゲスト・シンガーを迎えて制作された。
同年8月には、エンシフェルムのヴォーカリスト、ペトリ・リンドロスを正式メンバーに迎え、9年ぶりとなるニュー・アルバム『Here For None』をリリース。本作を特徴づけるのは、クレイジーなギターソロ、シンフォニックなキーボード・アレンジ、そしてパワフルなペトリの咆哮。「俺はこれからもずっとチルドレン・オブ・ボドムのヤンネとして見られ続けるだろう。過去を隠すつもりもないし、それでハッピーなんだ」というヤンネの言葉が、この作品をよく描写している。まさにフィニッシュ・メロディック・デス・メタルを象徴するアルバムであり、彼らこそチルドレン・オブ・ボドムの遺志を継ぐものたちだ。