インサイトはアリゾナのグルーヴ・メタル・バンド。そのヴォーカリストは、まさにグルーヴ・メタルの申し子のような存在。彼の名は、リッチー・カヴァレラ。その名字でだいたい察しがつくだろう。そう、彼の母親はグロリア・カヴァレラ。あのマックス・カヴァレラ(ソウルフライ、元セパルトゥラ等)の奥様であり、マネージャーでもある人物。マックスは、リッチーにとっては継父ということになる。そんな訳で、母親のお腹の中にいる頃からメタル漬けであったリッチー。さらに彼は幼少時、アリゾナのスラッシュ・メタル・バンド、Atrophyのセカンド・アルバム『Violent by Nature』のジャケットのモデルも務めているというのだから、そのエリートぶりは半端ではない!と大分前置きが長くなってしまったが、そのリッチーが率いるインサイトは04年に結成され、これまでに『The Slaughter』(09年)、『All Out War』(12年)、『Up in Hell』(14年)、『Oppression』(16年)、『Built to Destroy』(19年)という5枚のアルバムをリリースしている。
22年3月、アトミック・ファイアー・レコードと契約し、6枚目となるアルバム『ウェイク・アップ・デッド』をリリース。インサイトのスタイルを一言で説明するとしたら、マシーン・ヘッドとラム・オブ・ゴッドの間をつなぐミッシング・リンクのようなものだ。オールドスクールなスラッシュを下敷きにしたそのスタイルは、パンテラあたりのファンにはドストライクのもの。ひたすらアグレッシヴでヘヴィでグルーヴィー。リッチーは、「まさにこれが欲しかったインサイトのサウンド。初期のアグレッションを失わずに成熟した作品を作ることができた」と自信を覗かせるのも納得の、素晴らしいアルバムだ。