年季の入ったスラッシュ・メタル・ファンであれば、モードレッドを覚えているだろう。80年代後半のベイエリアでは、スラッシュ・メタルにファンクを取り入れる動きがあったが、その中でデス・エンジェルと共に中心的役割を果たしたのが、このモードレッドである。結成は84年。何本かのデモを発表した後、ドイツのノイズ・レコードと契約。89年に『Fool’s Game』でアルバム・デビューを果たす。この作品にはまさかのターンテーブル奏者、いわゆるDJまでが参加。スラッシュ・メタルとしては斬新すぎる内容で、多くのメタル・ファンの度肝を抜いた。91年にはセカンド・アルバム『In This Life』を、94年にはサード・アルバム『The Next Room』をリリースするが、何しろスラッシュ・メタルには逆風が吹きまくっていた90年代のこと。バンドは95年に解散してしまう。
そんなモードレッドだが、実は01年に再結成を果たしている。ただ活動は不定期で、たまにライヴをやる程度。何年もニュースが無いこともあり、本当に活動中なのかよくわからない時期もあった。2021年7月、ついに27年ぶりのアルバムをリリース。何十年ぶりのアルバムと言うと、オリジナルのメンバーは1人か2人なんていうことも珍しくないが、モードレッドは、当時のメンバー6人のうちドラムを除く5人が勢揃いしている。(もちろんDJも参加!)となれば、音の方ももちろんあの頃のモードレッドそのまま。ファンクの香りがするベイエリア・スラッシュを21世紀に蘇らせている。