ヨーロッパを中心に大きな注目を集めているブラジル出身のオール・フィメール・スラッシュ・メタル・バンド、ネルヴォサ。10年に結成され、12年にデモを発表すると、いきなりオーストリアの大手、ナパーム・レコードと契約。14年には『Victim of Yourself』でアルバム・デビューを果たす。ブラジルのバンドでありながら、ヨーロピアン風味漂う強力すぎるスラッシュ・メタルを聴かせ、あっという間に世界中のマニアのハートを鷲掴みにした。コンスタントにヨーロッパ・ツアーなどもこなしつつ、16年にはセカンド・アルバム『Agony』、18年にはサード・アルバム『Downfall of Mankind』をリリース。ネルヴォサはいつしか新世代スラッシュを担う旗手となっていた。
2021年には4枚目のアルバム『パーペチュアル・ケイオス』をリリース。もともとメンバー・チェンジの多いネルヴォサだが、2020年にギターのプリカ以外が全員脱退。新たに3人のメンバーが加わることとなったのだが、中でも注目すべきはベースのミア・ウォラス。彼女はアバスのほか、トム・G・ウォリアーのパートナーとして、トライアンフ・オブ・デスでもベースをプレイするなど、エクストリーム・メタル界で八面六臂の活躍を見せる女性だ。
そんな強力な新メンバーを迎え制作された『パーペチュアル・ケイオス』は、楽曲、演奏、パワー、プロダクション、あらゆる点において、前作から大きな飛躍が見られる作品に仕上がっている。前作までベース/ヴォーカルを担当していたフェルナンダが脱退したことを受け、専任のシンガー、ディーヴァ・サタニカが加入。スペイン出身の彼女はブラッドハンターというメロディック・デス・メタル・バンドでもヴォーカルを務めているというだけあり、その歌声は実にパワフル。ヨーロッパらしい吐き捨てスタイルは、見事にネルヴォサのスタイルにマッチしている。
2023年9月には5枚目となるアルバム『Jailbreak』をリリース。もともメンバー・チェンジの多い彼女たちだが、今回もまたまた4人中3人が入れ替わっている。ヴォーカリストも抜けてしまったので、オリジナル・メンバーであり、ギタリストでもあるプリカがヴォーカルも担当。中身は相変わらず、非常にタイトでパワフル、疾走感たっぷりのスラッシュ・メタルがギッシリと詰まったアルバムだ。