シナーズ・ブラッドは、チリの新人メロディック・メタル・バンド。ギター、キーボード、そしてバッキング・ヴォーカルを担当するナッソンは、マルチ・インストゥルメンタリスト、そしてプロデューサーとして15年に渡りチリのメタル・シーンで活躍してきた人物。そんな彼の周りにツワモノ・ミュージシャンが集って結成されたのが、このシナーズ・ブラッドである。
特筆すべきはヴォーカリスト、ジェイムズ・ロブレードだろう。過去、チリやアルゼンチンのバンドを渡り歩いて来たという彼の歌声は、とにかくパワフルかつエモーショナル。ロニー・ジェイムズ・ディオやヨルン・ランデ、ラッセル・アレンから影響を受けているというのも納得。世界には、まだこんな優れたヴォーカリストが潜んでいたのかと驚かされる。
ナッソンがすべて手がけているという楽曲は、スピーディなヘヴィメタルから美しいバラードまで、実にバラエティ豊富。そのいずれにも強力なメロディ・センスが光る。21世紀らしいビッグでヘヴィなプロダクションも素晴らしい。
まったくの新人バンドが、いきなり名門フロンティアーズ・レコードからデビュー。それだけで、このアルバムのクオリティの高さがわかろうというもの。とてもデビュー作とは思えないハイクオリティなメロディック・ヘヴィメタルに驚くファンは多いことだろう。世界中の情報が瞬時に手に入るインターネット時代にも、まだまだ未知の強豪は存在しているのである。