アド・インフィニトゥムが女性シンガーのメリッサ・ボニーがソロ・プロジェクトとして始動したのは2018年のこと。スイスのモントルー出身のメリッサは、カヴァー・バンドでの活動を経て、2012年にシンフォニック・フォーク・メタル・バンドのEVENMOREに加入。EPとアルバムを1枚ずつリリースする一方で(2018年に脱退)、2015年にエレクトロ・グルーヴ・メタル・バンドのRAGE OF LIGHTにも参加した彼女は、自身が以前からやりたいと思っていたシンフォニック・メタル・プロジェクトのアド・インフィニトゥムをスタートさせる。
2018年11月に1stシングル「アイ・アム・ザ・ストーム」をリリースし、パワー・メタルにシンフォニックなエッセンスを取り入れたスタイルを披露すると、その後、エイドリアン・ゼセンヴィッツ(ギター)、ヨナス・アスプリンド(ベース)、ニクラス・ミューラー(ドラムス)を迎えバンド体制となり、1stアルバム『チャプター I:モナーキー』を完成させた。
シンフォニックなサウンドにゴシックのテイストを織り交ぜた楽曲はヘヴィでありながら妖艶さを感じさせるのが魅力で、叙情派のヴォーカル・メロディも親しみやすい。大仰なシンフォニック・サウンドで聴かせるタイプではなく、メロディックなヘヴィ・メタルのエッセンスがあるのも特徴的で、メリッサのクリアでパワフルな歌声もインパクトがある。ヨーロッパには女性シンガーを擁するシンフォニック・メタル・バンドは数多く存在するが、このアド・インフィニトゥムも世界中のシンフォニック/ゴシック・メタル・ファンを魅了することは間違いないだろう。
2023年3月には、サード・アルバム『チャプターIII–ダウンフォール』をリリース。本作でも、お得意のシンフォニック・メタルが炸裂。ゴージャスなアレンジメントにキャッチーなサビ。一方でプログレッシヴなリフワークや、メシュガーを彷彿とさせる複雑な面も時おり顔を覗かせる。古代エジプトをコンセプトとした歌詞も実に興味深い。スイスのフォーク・メタル・バンド、エルヴェイティのヴォーカリスト、Chrigel Glanzmannがゲスト参加。ミックス、マスタリングを担当したのは巨匠ヤコブ・ハンセン。