バンドは結成直後の2013年に『フロム・アッシュズ・トゥ・ニュー』、さらに2015年には『ダウンフォール』という2枚のEPをリリース。さらにスターウォーズ帝国軍によるメタルバンドGalactic Empireのドラマーであり、AUGUST BURNS REDの作品を手がけるGrant McFarlandをプロデューサーに迎え、2016年2月に初のフル・アルバム『デイ・ワン』を発表している。『デイ・ワン』は全米総合チャートで53位という好成績を収め、順調なキャリアを歩みだした。日本でも新しい音に敏感なラウドロック・ファンが反応し、2016年早くも初来日、ALL TIME LOW、ONE OK ROCK、PVRIS との共演を果たしている。
2016年末、今作の制作に取り掛かったバンドだが、3月12日にクリーン・ヴォーカルのクリス・ムッサーとドラマーのティム・ドノフリオの二人がバンドを離脱したことを発表。さらに、リズム・ギターのブランデン・クレイダーも去るという非常事態が起こる。クリスは楽曲制作に大きく関与していたことから、バンド活動が停滞するのではと思われた。しかし、バンドは即座に新ヴォーカリストのオーディションを実施。その後4月には元TRIVIUMのドラマーだったマット・マデュロ、さらに7月にはオーディションを勝ち抜いたニューヨーク出身の新ヴォーカリストのダニー・ケイスのバンド加入し新体制となった。
新メンバーの加入がバンドに与えたポジティブな影響は、先行シングル「クレイジー」を聴けば明らかであり、ファンが抱えていた不安は払拭されるだろう。Jacoby Shaddix(PAPA ROACH)やAdam Gontier(THREE DAYS GRACE)を彷彿させるザラリとした声質、力強いマッチョな歌声を聴かせるダニーのヴォーカルはバンドに新たな魅力をもたらしている。「クレイジー」は、狂おしいほどに夢中になり、そこから逃れられなくなる人間や物事を表現した楽曲だ。その誰もが経験したことがある感情をダニーはエモーショナルに歌い上げている。ダニーの強力なヴォーカルを活かした楽曲が今作には多数収録しており、クリスが抜けた穴を十分に埋める活躍をしている。そしてもちろん、バンドに欠かせないマットのラップも健在だ。バンドは2018年1月中旬から10 YearsのUSツアーのゲストとして同行、4月の新作リリースに向けて精力的な活動を続けていく予定だ。
『ザ・フューチャー』を聴いた後、ジンワリと心に灯る熱い気持ちと拡がっていく温かな余韻は彼らの明るい将来が確かな手ごたえとして感じられる。2018年春、ニューメタルというカテゴリーに収まりきらないポテンシャルを秘めたバンド=フロム・アッシュズ・トゥ・ニューの第二幕が始まろうとしている。
【メンバー】
マット・ブランディベリー(ヴォーカル/キーボード/プログラミング)
ダニー・ケイス(ヴォーカル)
ランス・ドゥードル(ギター/ヴォーカル)
マット・マディロ(ドラムス/ヴォーカル)