2016年10月8日・9日、ロサンゼルスのエース・ホテル内“ザ・シアター”で開催された『フェスティヴァル・オブ・ディスラプション』。映画監督デヴィッド・リンチがキュレーターを務めるこのイベントにはセント・ヴィンセント、アンジェロ・バダラメンティ、スカイ・フェレイラ、クエストラヴなど多彩なアーティストが出演したが、初日のヘッドライナーを務めたのがロバート・プラントだった。
2012年にザ・センセーショナル・スペース・シフターズを結成。ロックやブルース、アフリカン・ビート、アパラチア山脈のマウンテン・ミュージック、そしてループなどのテクノロジーを融合させた斬新なスタイルはオールド・ファンに加えて、新しい世代の音楽リスナーの支持を獲得している。2014年の『サマーソニック』で来日、マリン・ステージ(スタジアム)での熱演は記憶に新しい。
本作のライヴは1,600人の観衆を前にしたもので、この時点での最新アルバム『ララバイ・アンド...ザ・シースレス・ロアー』(2014)からレッド・ツェッペリン・クラシックスまでを交えた選曲で魅了する。新しいヴァージョンで蘇える「ブラック・ドッグ」、「ゴナ・リーヴ・ユー」、「胸いっぱいの愛を」、「カリフォルニア」は、ロバートが過去に安住することなく、未来へと前進していくことを強くアピールするものだ。レッドベリーを下敷きにした「プア・ハワード」、マディ・ウォーターズの「フーチー・クーチー・マン」というブルース・スタンダードも見事に生まれ変わっている。
彼をバックアップするザ・センセーショナル・スペース・シフターズのメンバーも実力者揃いだ。“砂漠のブルース”ティナリウェンのプロデュースを手がけたジャスティン・アダムス(ギター)、元キャストのリアム“スキン”タイソン(ギター、バンジョー)、ガンビア出身で西アフリカ音楽に精通するジュルデー・カマラ(リッティ、コロゴ、ベンディール)、マッシヴ・アタックやポーティスヘッドとの共演経験を持つジョン・バゴット(キーボード)、ポーティスヘッドのジェフ・バーロウとBEAKを結成しているビリー・フラー(ベース)、フォフーラのデイヴ・スミス(ドラムス)というラインアップで、唯一無二の音楽性を創り出している。